たるく タルク(3MgO 4SiO2 H2O)
滑石(かっせき)ともいう。珪酸と、マグネシウムの混合物で、マグネシア(MgO)を30%あまり含む。石灰石と似ているが、焼成温度が高くなる。還元焼成しても釉色が青くならないために石灰石の変わりに洋食器類の磁器釉として、瀬戸、多治見地方で広く用いられている(ステアタイト)。この釉は、失透性の光沢釉で硬度がある。
また、貫入の防止としても使われる。油摘天目釉の媒熔材として10%程度入れる。透明釉に多量(8~20%)使用するとマット釉になる。また、乳濁釉としても使用する。マグネシアの変わりに多く使用するが、この場合は焼タルクを使用する。
たんかけいそ 炭化珪素(SiC)
酸化焼成で還元を行ないたい時に、釉にあらかじめ炭化珪素の微粉末を加えておくと、焼成中に炭酸ガスを発生させて、還元焼成になる。しかし、本来の還元焼成と同じ色合にはならないので注意が必要。
たんぐすてん タングステン
酸化タングステンの項。
たんさんすとろんちうむ 炭酸ストロンチウム(SrCO3)
媒熔剤で、釉の軟化温度を下げ、熔融度を増す働きがある。しかし、鉛釉の場合には逆に軟化温度を上げる。多量に用いると、良好なマット釉が得られる。色釉、特に赤系統の色に対しては、輝いた色調を与える。
たんさんかるしうむ 炭酸カルシウム(CaCO3)
石灰石のこと。
たんさんそーだ 炭酸ソーダ
ソーダ灰。アルカリ塩基を取得するのに、安価で純度が高いので、主原料として多く用いられる材料。ソーダ分の調整用として使われる。
たんさんどう 炭酸銅(CuCO3)
着色金属で青緑色をした銅薬。辰砂釉のように銅分を釉薬に分散する必要のある場合、酸化銅より炭酸銅のほうが発色がよい。また、織部釉の場合炭酸銅を加えたほうが色合いが美しいといわれている。
たんさんなとりうむ 炭酸ナトリウム(Na2CO3)
ソーダ灰、炭酸ソーダともいう。可溶性のアルカリ塩基でアルカリ釉の原料となる。水溶性なので、通常はフリットにして使用する。
たんさんばりうむ 炭酸バリウム(BaCO3)
石灰石とよく似た性質を持ち、石灰石よりも低温で溶けるために、亜鉛と共に中火度釉に用いる場合が多い。ただし、熱膨張率が大きいので貫入が出やすい。
珪酸分の多い釉によく融け合い、釉に粘りを出す媒熔材だが、反応性は小さい。珪石を減らすことにより柔らかい色調のマット釉を比較的安定につくる事ができるが、大量に用いると泡が多くなって「ぶく」が出やすくなる。石灰石と組み合わせた石灰バリウム透明釉に酸化銅を入れると美しい織部釉となる。しかしバリウムマット釉に酸化銅及び酸化チタンまたは骨灰を加えると、トルコ青釉に近い色になる。
また、釉の透明性を促進する作用があり、辰砂釉の赤色、トルコ青の青色の発色を助け、鮮やかな色になる。
たんぱん 胆礬
天然の流酸第二銅。水溶性で、そのまま使用すると、絵を描いた部分が素地の裏まで浸透する。これを黄瀬戸の抜け胆礬という。水溶性なので、織部釉など釉に混ぜては使えない。
作り方は、山から取ってきた天然の胆礬を大きなカメの底に水を少し入れておいて、中に浸すと胆礬が溶けて青水になる。そこにソーダ液を入れ撹拌すると、泡を出してカメの縁まで盛り上がる。翌日泡が収まったところに再びソーダ液を入れ泡を立てる。これを繰り返し、泡が出なくなるまで繰り返すと、水と胆礬が分離し、黒色になって沈澱したものの硫酸を洗い流して乾燥させて使用する。
最近は原料が少なくなっているので、硫酸銅を使うことが多い。
ちくらいし 千倉石
愛知県瀬戸市、赤津周辺で産出する風化長石の一種でカリ長石の部類に入る。簡単に水簸して使用可能で、京焼の基礎釉として使用した。また、ザラ目を利用して志野釉にも利用できる。名古屋の御用窯として淡黄緑の卸深井(おふけ)釉に使用された。
ちょうせき 長石
釉薬の媒熔材としてアルミナ分(R203)及び珪酸分(RO2)の主要な原料である。長石には大きく分けてカリ分を含んだカリ長石(正長石)とソーダ分を含んだソーダ長石(曹長石)、石灰分を含んだ灰長石に分けられる。カリ長石は1230~1250℃で熔けて泡の多い白いガラス状になり、ソーダ長石は1100℃ぐらいで透明なガラス状になる。だいたいカリ分が多いと熔ける温度が高くなりよく粘る。天然の長石では、純粋なカリ長石、ソーダ長石は産出されない。必ず両方が混合している。どちらが多いかによって分類されている。日本では主に福島長石、釜戸長石、平津長石が使われる。他には、南郷長石、対馬長石、三雲長石等がある。世界的な標準長石は、インド長石である。
ちんでんぼうしざい 沈澱防止剤
釉薬の沈澱を防止する働きのある薬品。通常は、にがりの主成分である塩化マグネシウムを精製したクリスタン沈澱防止剤を多く使用する。これは、釉薬の全量の0.3%程度入れるが、入れすぎると扱いにくいので注意が必要である。他には、ニカゾール沈澱防止剤、有機結合剤等がある。天然の材料としては、ベントナイト、蛙目粘土等を使用する場合がある。
つばきばい 椿灰
土灰、柞灰類に比べて燐酸を非常に多く含まれているので、骨灰と同じように乳濁釉になる。この釉は、チタン、骨灰等を使用した釉薬よりも上品な白色になる。
でいしょう 泥漿
粘土または陶土を水及び水ガラス少量で溶いてどろどろの状態にしたもの。石膏型作りの時に使用する。その他、単に泥状の状態をいう場合もある。(釉薬の泥漿、化粧土の泥漿等)
できすとりん デキストリン
白色または淡黄色粉末の炭水化物。澱粉を酸またはアミラーゼで加水分解する時に生ずる中間生成物。粘着力が強く、印紙・封筒などの糊に用いる。
釉薬の粘性を増し、厚がけしたい時に使用する。また、釉薬に浸しがけした時に、粉になって剥がれたり、めくれたりする時に釉薬に対して3%以内を入れると、剥離しにくくなる。なまこ釉、流し釉などの2重かけをする場合に下釉薬に混ぜて使用すると、上釉薬をかける時に、かけやすくすることができる。
とうがのり 陶画糊
ラテックスのこと。
とうせき 陶石
流紋岩、石英斑岩が熱水、温泉の熱水作用等で変質した岩石で、単味で磁器土として使用できる。一般に1300℃で磁器化(ガラスの一歩手前まで焼結する状態)する。耐火度は1500℃程度。日本では、李三平が有田の泉山で発見したのが最初である。釉薬には、磁器釉として柞灰等を入れて使用する。現在では、熊本県の天草陶石が有名。他には、愛媛県の砥部陶石、石川県の服部陶石、兵庫県の出石陶石、新潟県の村上粘土が有名。主成分は石英、カオリナイト、セリサイトである。
とうのつち 唐の土
塩基性炭酸鉛(Pb(OH)2 2PbCO3)のことで、鉛白とも呼ぶ。江戸時代におしろいの原料として使用したが、毒性が強いので現在は使用しない。比重が鉛化合物の中で最も軽い(6.5)のと、水に溶けにくいので、比較的安全な鉛釉泥漿として使用する。通常は、唐の土50%、白玉50%程度で使用すると800℃前後で溶ける釉薬になる。400℃くらいで炭酸ガスを発生させるが、このガス放出のためピンホールや発泡がおこりやすい。
どばい 土灰
本来、土灰とは竈(くど)で雑木を燃やして得た竈灰(くどばい)が変化したもので、広い意味では木灰とも呼ぶ。市販品では合成土灰を使った釉薬を土灰釉、天然土灰のものを木灰釉と呼ぶようである。合成土灰は、カルシウム35%及びマグネシウム5%程度含む。天然土灰は鉄分を他の灰類より多く含み、酸化焼成で淡黄~淡飴色となり(粟田焼のクリーム色は土灰釉で出した)、還元焼成で淡青磁釉(高麗青磁)となる。
どろまいと ドロマイト(CaCO3 MgCO3)
白雲石ともいう。炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムからできていて、安価なので石灰石のかわりに融剤として釉に入れる。マグネシウムが入っているので、釉に粘りを与え、貫入の防止になる。