初心者のための釉がけ講座(資料編)

 釉掛けの基礎と応用がひとまず終了しましたので、釉薬の掛け方の資料ということで、釉掛けのための資料編を発表します。ここでは市販の釉薬を使うときのこと、種類別の釉薬の厚さ、濃さ、焼成方法等データと色釉を作る方法を書いておきます。

  1. 市販の釉薬を使用する場合の注意事項

     市販の釉薬を購入した場合、説明書が付いていませんので使い方がよく分からないという人が多いと思います。そこで、ここでは簡単に市販の釉薬を購入した場合には何をするかを説明いたします。

    1. 粉末釉薬と液体釉薬

       市販の釉薬には、液体で販売しているものと粉末で販売しているものがありますが、どちらもほとんど内容は同じだと思います。ただし、天然灰を使用している場合は粉末の状態で売られている場合が多いようですし、ミルを使用して微粉砕にしている場合は液体の状態で売られている場合が多いようです。金額的には液体の方が多少割高ですが、自分で釉薬を溶かす手間が省ける利点があります。ただし、液体釉薬は沈澱して固まっていますので、これを溶かすのに、やはり手間がかかります。以下に、粉末の釉薬と液体の釉薬を作る際の注意事項を書いておきます。

      1. 粉末の釉薬を作る時の注意事項

         粉末の釉薬を自分で溶かすのは、結構手間と時間がかかります。ミキサー、攪拌機等を使えば少しは楽になります。粉末釉薬の場合は、土や化粧土と同じで作って直ぐの状態では、釉薬がなじんでいないために、めくれたり剥がれたりすることがありますので、出来るだけ長時間、使用する前に寝かせておくことが必要です。

        .一度天日乾しにして、釉薬をよく乾燥させます。湿っていると、水分を吸収しないために、水に入れても塊の状態で残ってしまいます。しっかりと乾燥させると、水に入れた時点で綺麗に崩壊するので、比較的楽に作業をすることが出来ます。乾燥させる前に大きめの塊は砕いて、なるべく粉末の状態に近づけておきます。

        .バケツに水を入れます。釉薬を先に入れると、水を入れた時に粉が飛び散る危険性があるからです。水の量は、釉薬の重さを基準にして、下の表に基づいて最初から量って入れておくと便利です。後で水を入れてこびりついた釉薬を取り出す作業が出てきますので、水の量は少し少な目にしておくといいです。

        .粉末釉薬を水の中に静かに入れていきます。急激に全部の釉薬を一度に入れてしまうと、水の中で団子状態に固まる恐れがあるので、少しづつ塊にならないように入れていきます。

        .静かに沈澱するまで放置します。釉薬を入れて直ぐに撹拌すると、やはり固まりが出来てしまいますので、沈澱して上水が透き通ってくるまで放置しておきます。10分から30分程度かかるかと思います。

        .水が透き通って、下に溜まっている釉薬が見えるようになったら、撹拌します。この時に攪拌機を使うと楽です。ない場合には、木べら等を使って、飛び散らないように混ぜましょう。

        .その後、釉薬タンクの中に80から120メッシュくらいの篩を通して入れていきます。自然灰を使っている釉薬は比較的粗いメッシュ(80くらい)を使い、均一さが必要な釉薬の場合には細かいメッシュ(120くらい)を使います。通常は100メッシュだけで十分だと思います。
         篩を通す場合は、きんとんの裏こしと一緒で、篩に釉薬を入れただけではほとんど通りません。通すには、ナイロン手袋をした手で篩の中をかき回して通すか、きんとんのようにヘラで押し出すか、堅めのブラシでかき混ぜるかを行う必要があります。素手でそのままかき回すと、手の皮や爪を痛めてしまいますので、必ずナイロン手袋をするようにしましょう。

        .メッシュに残ってしまった釉薬は、乳鉢で摺ってもう一度メッシュを通します。出来るだけ釉薬は捨てないようにしましょう。そうしないと、釉薬原料の比率が変わってきて、別の釉薬になる可能性があります。残ってしまうのは、大体天然灰が多いようですから。

        .バケツにこびり付いた釉薬は、水を少し入れて流し出します。その後、台所用のゴムヘラ等を使って綺麗に移します。台所用のゴムヘラを使うと、結構綺麗に取ることが出来ます。手で行う際にはナイロン手袋をして行いましょう。

        .確認のために、ボーメ比重計で釉薬の比重を計りましょう。釉薬を均一に撹拌して、ボーメ比重計を静かに沈めます。釉薬が少なくて、比重計が底につかえるような時は、細長い筒の中に釉薬を入れて使います。ペットボトルあたりが使いやすいと思います。比重が重い場合には水を足します。逆に比重が軽い場合には、しばらく置いて上水が澄んだらこれを捨てて調製します。

        10.釉薬は、作って直ぐに使うのではなくて、最低1週間くらいは寝かせてから使うようにしましょう。作って直ぐの状態では、釉薬がなじんでいないために、釉掛けしてもめくれやすかったり、剥がれやすくなります。

        11.釉薬が減ってきたら、半分くらいになった時点で新しい釉薬を作って足していきましょう。特に天然材料を使用している釉薬は、買うたびに同じ調合でも色が違っていたりしますので、これを防ぐためと、寝かせる時間を省略出来るためです。寝かせた釉薬に新しい釉薬を足す場合には、寝かせる必要がなくなります。

      2. 液体の釉薬を作る時の注意事項

         液体釉薬を買った場合、沈澱して硬い塊になっています。したがって、使える状態にするには、やはり手間がかかります。液体釉薬の場合、薄い釉薬だと損で濃い釉薬だと得をすると思えますが、実は売られている状態は単純に釉薬を水で混ぜているだけと考えてください。したがって、最後にボウメ比重計で調べてみて、濃い釉薬にしたい場合は上澄み水を捨てて、薄い釉薬の場合は水を足していく必要があります。

        .買ったばかりの釉薬は、沈澱している場合が多いので、よく撹拌して出来るだけ溶かすようにします。大抵の場合は、ビニールの容器に入っていることが多いので、容器が破れないように注意しながらよく揺すったり叩いて衝撃を与えたりして極力容器の中で溶かすようにします。

        .大体溶けてきたら、バケツの中に移していきます。大抵の場合は、大きい固まりが残っていて、途中までしか入りません。そこで、バケツの上澄み水を漏斗で再び容器の中に入れて、再度容器を揺すって撹拌します。

        .この動作を何度か繰り返すと、大体の釉薬がバケツの中に入ります。最後に、容器に水を少しだけ入れて、容器の中に付着した釉薬を溶かして、バケツの中に入れます。この時点で、水を入れた分釉薬が薄くなります。

        .粉末釉薬と同じように、篩を通します。これも、粉末釉薬と同じように粗い釉薬は大きめのメッシュ、均一にしたい場合には細かいメッシュを使います。

        .その後の作業は粉末釉薬の場合と全く一緒です。釉薬タンクにメッシュを通しながら移してボウメ比重計で確認します。



    2. 酸化と還元に気を付けましょう

       焼成する場合、酸化焼成にするか還元焼成にするかで、発色が全く違ってしまいます。。もちろん、絶対に酸化焼成の釉薬は還元焼成で焼けないというものではありませんが、とんでもない色になる場合があります。例えば、織部釉は酸化焼成の場合は緑色の発色をしますが、還元焼成だと緑色の中に赤色の条痕が出たり、茶色になったりします。銅が入っているのだから赤色に発色すると思うかもしれませんが、辰砂釉の調合とは銅の配合が違っているので、綺麗な赤色にはなりません。
       もちろん、酸化の釉薬を還元焼成して、それが自分の気に入った色合になれば、それを使ってもかまいません。別に毒になるわけではありませんので・・・。

      1. 酸化焼成が基本の釉薬
        黄瀬戸釉、織部釉、天目釉、鉄赤釉、トルコ青釉、等

      2. 還元焼成が基本の釉薬
        辰砂釉、青磁釉、月白釉、鈞窯釉、ビードロ釉、等

      3. どちらでも使える釉薬
        透明釉、貫入釉、灰釉、藁灰釉、白マット釉、唐津釉、志野釉、白萩釉、伊羅保釉、等

    3. 焼成温度をそろえましょう

       同じ釉薬で窯を一杯にすることは不可能に近いですし、どうしてもあれこれと釉薬を試してみたいから、釉薬の種類も多くります。しかし、同じ温度で熔ける釉薬にしておかなければ焼くことが出来ないために、結局使えない釉薬になってしまいます。最近は、釉薬の焼成温度が表示されていますので、これを参考にして同じ温度帯の釉薬を買うようにしましょう。
       同じ名称の釉薬でも、メーカーや調合によって全く違う温度帯になる場合や似たような温度帯になる場合もあります。出来るだけ多くのカタログを用意して、十分に検討してから購入しましょう。
       しかし、メーカーが書いている温度帯では熔けない場合もあります。メーカーの書いているものは、一般的な温度帯ですので、窯の違いや燃料の違い、焼成方法の違いといったものに左右されますので、絶対の温度領域ということではありません。この辺は注意が必要です。といっても、買ってからの判断になってしまいます。出来れば、最初に購入するのは1リットルとか1キロとかの少量を購入して焼成してから多量に購入することをお勧めします。

       どうしても、違う温度帯の釉薬を買った場合には、自分の焼成温度帯に釉薬を合わせる必要があります。これは、結構手間暇のかかることですので、出来れば避けたいものでが、温度を上げる場合は、珪石やタルク、藁灰等を入れて熔けにくくします。逆に温度を下げる場合は、土灰やバリウム、ストロンチウムのような媒熔剤を入れて熔けやすくします。ただし、あまり多くの量を入れると全く違う組成になってしまいますので、慎重かつある程度の知識を必要とします。

  2. CMCと沈澱防止剤の効果

     市販の釉薬には、沈澱防止剤、CMC等は含まれていないので、自分で入れる必要があります。

    1. CMC

       CMCというのは、カルボオキシ・メチルセローズの略で科学的に作られた糊のことです。通常は粉末で市販されていますので、水かぬるま湯に2%程度入れて薄い糊状にして使用します。当然、糊なので濃くする場合には多めに入れます。  CMCは、釉薬に対して0.1~0.3%程度加えます。ただし、薄掛けのさらっとした釉薬(伊羅保釉や、黄瀬戸釉、透明釉等)には入れない方が良いと思います。CMCを入れると必然的に釉薬自体が濃くなりますので、薄掛けが出来なくなるからです。
       CMCの代わりに、ヤマト糊を薄く溶いても使えます。フノリやニカワを使うことも出来ます。この2つは、釉薬を固める働きがありますので、2重掛けが可能になります。
       なお、CMC等は夏季に腐敗して腐敗臭を出す場合がありますので、釉薬に入れる場合には考慮が必要です。

    2. 沈澱防止剤

       沈澱防止剤は、主ににがり系のクリスタン沈澱防止剤と科学糊系のニカゾール沈澱防止剤があります。

      1. にがり

         にがりは、海水を煮つめて製塩した後に残る液体です。舐めると苦いので苦汁と言います。主成分は塩化マグネシウムで、釉薬の沈澱防止剤として1~5%程度釉薬に入れます。入れすぎると、粘りが出過ぎるのと、マグネシウムの影響が出るので注意が必要です。にがりは、塩化化合物ですので、水に溶ける性質があります。したがって、一度入れると取り除くことは不可能です。
        市販されている商品では、にがりとして売られていることはほとんどありません。塩化マグネシウムだけを精製したクリスタン沈澱防止剤としてか、あるいは塩化マグネシウムの状態で売られています。
         塩化マグネシウムで買った方が少し安価なようです。使い方は、基礎編をお読みください。

      2. ニカゾール

         ニカゾールは合成した科学糊で、沈澱防止材として釉薬に1%程度入れて使用します。多少匂いがありますが、これは木工用のボンドと同じ臭いです。
         ニカゾールは、糊ですので、混ぜると釉薬に粘りが出たり、濃くなったりします。要するに、粘りを与えることによって沈澱を防ぐ作用をしますので、これはどうしようもありません。
         なお、CMCを入れる場合はニカゾールを入れる必要はありません。同じ効果をもたらすものですので、どちらか一方を入れれば大丈夫です。
         また、ニカゾール系の沈澱防止剤は、どうしても釉薬に粘りが出てしまいますので、薄掛けにしなければいけない釉薬や、最初からどろっとした濃い釉薬に入れると、更に濃くなって、使いづらくなってしまいますので、このような釉薬に使うのは不向きです。この場合は、クリスタン系の沈澱防止剤を使うようにします。逆に、さらっとした釉薬を厚掛けにしたい場合には、ニカゾール系の沈澱防止剤やCMCを入れて粘りを出すといいでしょう。

      3. 蛙目粘土等

         沈澱防止には、その他の方法として蛙目粘土や木節粘土のように白色粘土を入れる方法があります。これも、ニカゾールと同じように釉薬に粘りを与えて沈澱しにくくし、沈澱しても粘土分の影響で硬くなるのを防ぐのが目的で使用します。通常は、釉薬に対し5%以下を入れます。これ以上入れると釉薬の組成が変わってしまうためです。
         蛙目粘土等を入れると、釉薬中にダマが出来やすいという欠点がありますので、撹拌をよく行う必要があります。

  3. 透明釉をベースにして、いろいろな釉薬を作ってみよう

     市販の透明釉は当然ですが無色透明で光沢があります。この透明釉は、別の言い方をすれば基礎釉ともいって、実はいろいろな釉薬の基礎になる釉薬なのです。透明釉に着色剤である酸化金属を混ぜれば色釉になりますし、乳濁剤を混ぜればマット釉や乳濁釉に加工することも出来る、何にでも変身できる釉薬です。

    1. 透明釉をベースにして、乳濁釉やマット釉をを作ってみよう

       乳濁釉やマット釉の定義は単純ではなく、詳細に書いていくと非常に難解なものになってしまいます。ここでは、単純に艶消釉(いわゆる光沢のないもの)をマット釉、失透釉(いわゆる透明性がないもの)を乳濁釉として説明して行きます。

      乳濁釉- 乳濁釉は、結晶質失透釉と分相失透釉の二つに区分されます。前者は釉中に微量な結晶物質が分散することによって生じるもので、錫釉、ジルコン釉がこれに属します。後者は分相現象によるもので、藁灰釉、なまこ釉、チタン乳濁釉等がこれに属します。
       結晶質の釉薬、特にジルコンは非常に乳濁効果の強い原料で、どのような土に対しても白色を呈しますので、ここではあえて白色釉の分類にしています。
       さて、分相現象のものは、透明釉に乳濁材の藁灰、チタン、骨灰等を混ぜれば乳濁釉になります。簡単に作るには乳濁効果の大きい藁灰を15%程度入れて作ります。
       藁灰釉は、酸化焼成でも還元焼成でも、乳濁釉になります。市販の藁灰釉の系統では、白萩釉やナマコ釉、卯の斑釉、斑唐津釉、あるいは鈞窯釉や月白釉もこの藁灰による乳濁釉に属します。藁灰釉は、ワラ以外にも稲科の植物はすべて珪酸質を多く持っており、稲、麦、とうもろこし、竹、すすき、笹、セイタカアワダチソウ、羊歯等も全て同じような効果があります。また、一般に、茎よりも葉、葉よりも実が珪酸質が高ので、卯の斑釉などはモミ灰とかヌカ灰を使用しています。
       藁灰釉は、薄掛けだと透明になる場合があります。逆に濃いと剥離することもあります。濃い部分と薄い部分との掛け分けで流れた感じを出すことも出来ます。
       なお、乳濁剤にチタンを使用すると、酸化焼成で赤土に使用すると青く発色する場合があります。藁灰を天然ワラ灰から合成ワラ灰に変更すると、チタンが含まれているために青く発色します。市販のワラ白釉や白萩釉で酸化だと青っぽい釉薬がこのチタン釉に属します。
       骨灰は、乳濁効果は少ないのですが、品のいい色合になります。椿釉や栗皮灰には多量にこの骨灰が含まれているために、上品な色合になっています。

      マット釉-  実は、マット釉の定義はいろいろあります。大きく分けると、アルミナ分が多く入ったアルミナ質マット釉、珪酸分が多く入った珪酸質マット釉、細かい結晶が入ったためにマットになった塩基質マット釉と大別出来ます。珪酸分が多く入った釉薬は、マット釉よりも乳濁釉になりやすく、塩基質マット釉は流れやすく、結晶が大きくなると結晶釉になります。詳しく書いていくと初心者の講座になりませんので、ここでは単純にアルミナを入れたアルミナ質マット釉についてのみ書かせていただきます。
       透明釉に酸化アルミナや蛙目粘土を15%以上入れると、アルミナマット釉になります。アルミナマット釉の特徴は、温度不足の場合は表面がざらついていて不溶の感じがあります。逆に、温度を上げていくと透明になる不安定な釉薬でもあります。
       しかし、マット釉としては比較的簡単に作ることが出来ますし、釉薬自体は光沢のない綺麗な感じにしあがります。また、着色金属を入れると簡単に色マット釉を作ることが出来ます。

    2. 透明釉をベースにして、鉄釉を作ってみよう

       市販の透明釉に着色剤である酸化金属を混入すると、色釉を作ることが出来ます。たとえば、もっともポピュラーな酸化金属である鉄を混ぜると、鉄釉にすることが出来ます。
       鉄釉は、鉄分の量によって青磁釉から黄瀬戸釉、飴釉、天目釉、柿釉、鉄砂釉と変化して行きます。数ある酸化金属の中でもこれだけ変化するものはありません。面白いとも言えますし、難しいとも言えます。
      混ぜる鉄の種類は、釉薬によって変えた方が良いです。鉄の種類は、珪酸鉄、酸化鉄、酸化第二鉄(紅柄)等があります。 珪酸鉄は青磁釉と黄瀬戸釉以外ではあまり使用しません。色が紫色から肌色をしているので、釉薬の色も同じような色になります。 酸化鉄は、焦げ茶色をしています。これは、黄瀬戸釉や天目釉に主に使われます。酸化鉄は、あまり精製されていないので、綺麗になる釉薬にはあまり使用しません。どちらかと言えば野趣的な釉薬に使用します。
      酸化第二鉄は紅柄を使用しますが、色はもちろん紅柄格子の赤紫のような色です。この紅柄は、安くて微粉末なので大部分の釉薬に使用しています。釉薬の色が真っ赤なものは、この紅柄が入っていると思えば大丈夫です。
      その他、四三酸化鉄とか燐酸鉄とか特殊な鉄もありますが、滅多に使いません。四三酸化鉄は黒浜とも呼ばれ、砂鉄のことです。非常に固いので釉薬としてはあまり使用されませんが、砂金釉などの結晶釉の核として使用する場合があります。

      青磁釉-透明釉に珪酸鉄を0.5%から1%入れると、還元焼成で青磁釉になります。青磁釉の場合は、微量の鉄分が還元焼成されると青い色に変化することを利用していますので、通常の紅柄を使用すると鉄分が多く入りすぎるために、鉄分の少ない珪酸鉄を使用します。青磁釉に関しては、色が緑系統になる場合とか青系統になる場合等細かい部分がありますので、詳しくは「青磁釉」の項をご覧ください。

      黄瀬戸釉-透明釉に酸化鉄を2%入れると黄瀬戸釉になります。ただし、黄瀬戸釉としてはかなりのツヤがありますので、あぶらげ手のようにツヤのない黄瀬戸釉にしたい場合には、木灰釉に酸化鉄を入れるといいでしょう。更に蛙目粘土等を足していくと、アルミナマット釉になりあぶらげ手に近づいていきます。
      ここで使用する鉄は、酸化第二鉄の紅柄よりも酸化第一鉄の方が発色が良いとされています。
      木灰釉には、少量の鉄分が含まれているため、そのまま黄瀬戸釉として使用される場合もあります。木灰釉は、薄色の黄瀬戸釉としても使われています。
      詳しくは、「黄瀬戸釉」の項を見てください。

      飴釉-透明釉に酸化鉄を5%~8%入れます。薄い飴釉の場合は鉄分を少な目にして、濃い飴釉の場合は鉄分を多めにします。ただし、酸化焼成と還元焼成によって色合が違ってきます。飴釉の場合は、ツヤのある方が綺麗なので、透明釉に紅柄の組み合わせでも大丈夫です。詳しくは、「飴釉」の項を見てください。

      天目釉-透明釉に酸化鉄を10%程度入れます。 通常の石灰釉では鉄分を入れただけでは飴釉にしかなりませんが、これにマグネシアと長石、カオリンを入れていくと黒釉に変化します。また、天目釉にアルミナ分を入れると柿釉になり、柿釉に珪酸分を入れると鉄砂釉になります。詳しくは「天目釉」の項を見てください。

      柿釉-透明釉に酸化鉄を14%程度入れます。、焼成中に釉薬の中で鉄分が飽和状態になって、冷却の時にこれが吹き出て結晶質になったものです。  黒天目釉とか来待釉、益子赤釉を還元焼成すれば柿釉になる場合もありますが、現在ではチタンを少量加えて還元焼成する方法が多くとられます。焼成とか冷却の具合で結晶の大きさが変わり、鉄砂釉になる場合もあります。詳しくは「柿釉」の項を見てください。

      鉄砂釉-透明釉に酸化鉄を20%程度入れます。 石灰釉(磁器釉)に多量の紅柄(20%前後)を添加すると小豆色の細かい結晶をぎっしり敷き詰めたような、点々と小さな結晶面による金属光沢の現れる釉ができる。これが鉄砂釉と呼ばれ、還元焼成の磁器用色釉として古くから使われています。黒色の鉄砂釉もできます。詳しくは「鉄砂釉」の項を見てください。

    3. 透明釉をベースにして、色釉を作ってみよう

       透明釉に着色剤である酸化金属を入るといろいろな色釉を作ることが出来ます。また、練り込み用の顔料や下絵具を混ぜても色釉を作る事ができます。実際には顔料や下絵具の方が簡単に作ることが出来ますが、顔料には失透作用があるために、大量に使用すると乳濁した色釉になってしまうこと、色が平坦になってしまい、ペンキを塗ったような色になってしまいます。特に乳濁釉や白釉に顔料を入れるとペンキのような色合が強くなります。顔料の量を少なくしたり、素地を赤土にする等の工夫をすれば、ある程度は解消されますが、ムラになって汚くなる場合もありますので、注意が必要です。

       簡単な色釉の作り方は次の通りです。

      -白色は結晶質乳濁釉、または乳白釉にすることにより得られます。結晶質乳濁釉は、分相質乳濁釉(藁灰釉やチタン釉)に比べて、素地土の影響を受けにくいので、白色釉として使用する場合が多いようです。安定した乳濁剤としてはジルコンが安価で効果が大きく、透明釉にジルコンを5%~10%程度入れれば出来ます。いわゆる乳白釉です。この釉薬は、酸化でも還元でも白くなりますが、還元だと青っぽく、酸化だと黄色っぽくなります。どちらにしてもマット調の平坦な白色になります。
       酸化錫を10%程度入れると、上品な色調の白色になります。こちらはどちらかと言えば赤っぽいほのかな白色に仕上がります。ただし、高価でジルコンほどの乳濁作用がないのと、素地土の影響を受けて、赤土の場合と白土の場合だと色合いに違いが出来ます。また、釉薬の厚さによって色に変化が出たりします。釉調を楽しむ場合には面白いかもしれません。
       その他の方法として、釉薬に白絵土やカオリン、蛙目粘土を混ぜてアルミナマット釉として白色を作る方法があります。要するに、釉薬を不熔融にして白く見せる方法です。大量に白絵土等を使うと完全に釉薬が不熔になって表面がざらざらしてしまいます。

      -青色は、コバルトにより簡単に得られます。コバルトの場合は発色作用が強いので、0.5%程度で十分に効果があります。コバルトの替わりに呉須でも代用出来ますが、呉須の場合は酸化焼成だと黒みを帯びます。呉須を使う場合は、海碧呉須を使用すると酸化焼成でも青く発色することができます。練り込み顔料等の青色でも同じ効果が得られます。
       コバルトを大量に入れると藍色になってしまいます。また、乳濁釉にコバルトを1%程度入れれば空色になります。
       これとは別に、赤土または黒土にチタン乳濁釉を掛けて酸化焼成するとチタンの影響で青く発色する場合があります。場合によってはコバルトブルーに発色する場合もあります。黒土の場合は薄掛けの方が青くなり、濃いと白くなります。スプレー掛けで掛けると青色から白色にグラデーションに出来ます。赤土の場合は薄くても濃くても青くなりません。なかなか範囲の狭いのが難点です。

      -いわゆる瑠璃釉です。これもコバルトの発色ですがマンガンを加えると、紺色が深くなります。コバルト-2、マンガン-1を入れか、または、コバルト-2、マンガン-0.5、酸化鉄-2の調合もります。コバルトの替わりに古代呉須を使用するとそのまま使用することが出来ます。焼成は、酸化焼成の方が紫に近い色になります。還元焼成だと、どうしてもコバルトの影響で青っぽくなってしまいます。
       瑠璃マット釉にしたい場合は、この釉にジルコン-5を入れます。乳濁釉にコバルトを加えると瑠璃海鼠釉になります。この釉薬は、信楽製の火鉢等として明治時代から戦後まで大量に出回りましたので、みなさん目にしたことがあると思います。

      トルコ青-青色よりも薄い空色のトルコ青は、トルコ青釉または、トルコ青顔料で出せます。実際にトルコ青釉を作るには、釉薬をアルカリ釉にするためにリチウムを使用することが絶対条件です。使用しなければ単なる緑色になってしまい、青色にはなりません。また、焼成は酸化焼成が絶対条件です。ただし、織部釉にリチウムを入れても青くはなりません。織部釉のようにマグネシウムの入った釉薬や銅分が多すぎると緑色に発色します。それから、リチウムを入れると、強力なアルカリ作用のために、釉薬が溶けやすくなり、透明度が高くなります。したがって、下絵等が綺麗に見えるようになります。詳しくはトルコ青釉の項を見てください。
       これとは別に、トルコ青顔料を混ぜると比較的簡単に作ることが出来ます。ただし、こちらは失透作用が働くために下絵はほとんど見えなくなります。もちろん薄掛けにすると下絵も見えるようになります。こちらは酸化焼成でも還元焼成でも大丈夫です。ただし、還元焼成だと色が濃くなって青色に近くなります。
       全く別の方法として、青白磁釉で薄い空色にすることが出来ます。釉薬に珪酸鉄1.5%程度の微量を入れて還元焼成すると、鉄分の影響で青っぽい色合になります。釉薬は厚掛けにする必要があります。乳濁釉に珪酸鉄を入れると月白釉といって空色の不透明な色を作ることが出来ます。

      -紫色は、市販の紫顔料を入れることによって出すことが出来ます。ただし、実際にはライラック色なので、青っぽいて薄い紫色です。元々紫顔料は、赤色顔料と青色顔料を混ぜたものですから、両方を混ぜても同じ結果になります。
       もうひとつの紫色は、赤土に紫鈞窯釉を掛けて還元焼成することによって出すことが出来ます。この場合は、深い紫色で、赤色が強い紫色になります。乳濁が多くなれば、青色顔料を足すことによって、調整することも可能です。鈞窯釉にもいろいろと種類がありますので、違う種類を使うと紫色にはなりません。必ず色見本かカタログ等をみて購入してください。また、酸化焼成すると、萌葱色になってしまいます。
       また、月白釉の上から辰砂釉をかけることによって紫色を出す場合もあります。鈞窯にしても辰砂釉にしても、均一ではなくてまだらな感じの紫色になります。

      -緑色は透明釉に酸化銅を4~5%程度入れて酸化焼成することにより得られます。これはいわゆる織部釉の緑です。銅は釉中に溶けますので、透明感のある緑色を作る事が出来ます。銅を4%と酸化クロムを0.5%程度入れると、安定した緑釉を作ることが出来ます。
       乳濁した緑の場合は酸化クロムまたは緑色の顔料をを1~5%程度入れます。酸化クロムは、銅と違い釉中に熔けませんので、どうしても釉薬が濁ってマット調になってしまいます。クロムの量が多くなるにしたがって色も濁っていきます。なお、クロムや顔料を入れた場合は透明感のある緑色にはなりませんが、還元焼成でも緑色を作ることが出来ます。

      黄緑-乳濁釉に酸化銅を混ぜて酸化焼成すると、緑色が白く濁るために薄緑色から黄緑色に見えます。ただし、入れすぎると緑色になってしまいます。当然のことですが、乳濁釉ですので透明感はありません。透明感を出したい場合には、透明釉の上から織部釉を重ね掛けします。こちらは、黄緑ではなくて少し緑色が薄くなった感じになります。また、ワラ白釉や白マット釉の白釉の上から織部釉を重ね掛けしても同じような効果があります。微量の鉄分またはルチールを加えると、より黄緑色に近くなります。

      もえぎ色-ひわ色またはサラダグリーンの顔料を使うと萌葱色になります。この色も酸化焼成のみの色になります。この顔料は、クロムがベースになっていますので、顔料が多くなると緑色になってしまいますし、釉薬が薄いと茶色っぽくなってしまいます。還元焼成の場合は出ないことがあります。
       また、鈞窯釉を酸化焼成で焼くことによって、薄い萌葱色になります。これも乳濁釉に酸化銅を入れた場合と同じような効果でこの色合になります。
       その他、乳濁釉に酸化クロムを入れることによって黄緑色から萌葱色になります。これは、乳濁釉に酸化銅を入れて酸化焼成するのと同じ原理です。ただ、こちらの色の方が緑色が濃いために色あいが萌葱色になる訳です。この釉薬は還元焼成でも発色します。
       おなじような原理で、クロム赤釉という釉薬を還元焼成すると萌葱色になります。これも、乳濁釉にクロム顔料を混ぜたものとおなじことです。ただし、この釉薬はクロムが釉に熔けているために若干のツヤがあるのが特徴です。

      ピンク-ピンクは陶試紅(マンガンピンク)またはピンク顔料を1~5%入れると得られます。ただし、この顔料も釉薬に熔けないために、入れる量が多くなると色は濃くなりますが、透明感がなくなっていき、色もペンキのような不自然なピンク色になっていきます。また大量に入れると熔けなくなるので注意が必要です。
       なお、ピンク顔料の場合は種類によっては還元焼成では発色しない場合があります。陶試紅の場合は還元焼成でも間違いなくピンク色になりますのでこちらをお使いください。ただし、還元焼成だと少し紫色っぽくなります。
       天然材料でピンク色を作るには、赤土にワラ白釉を薄く掛けて酸化焼成すると淡いピンク色に発色します。これは、素地土の鉄分の赤色が薄いワラ白釉の白の下から見えるためにピンク色に見える訳です。ただし、窯の雰囲気や場所によって必ずピンクになるとは限りません。
       還元焼成でピンク色に発色させようとする場合は、鉄分の1%程度入った赤土または、赤土に白化粧を薄く施した状態のものに透明釉または志野釉、ワラ白釉を薄掛けして、少し低めの温度(1220度まで)で弱還元焼成すると、いわゆる緋色が出てピンク色になることがあります。萩焼などでよく目にする色ですね。ただし、このピンク色は全面に発生させるのは難しく、一部分、口の部分や腰の部分にまとまって出たりします。釉掛けする時に全面に釉薬をかけるのではなくて、高台の部分より上、要するに土見せにすると比較的発生しやすくなります。この緋色は、赤土にワラ白釉と原理的には同じなのですが、違うところは冷却中に表面に鉄分が集まってきてピンク色に発色するというところです。したがって、徐冷の方が鉄分が集まりやすくなるのでよりピンク色に発色しやすくなります。

      -赤色の発色は、辰砂釉にして還元焼成するしかありません。酸化銅を1.5%と酸化錫を4%程度入れると辰砂釉になります。ただし、辰砂釉は全面を赤色にするのは非常に難しいです。
       この他に、鉄赤釉も赤く発色します。辰砂釉と比べると少し黒みを帯びますが、辰砂釉よりも簡単に安定して赤色を出すことが出来ます。これは、石灰とマグネシアの多い長石釉に燐酸と酸化鉄を大量に入れると、化合して美しい朱赤色釉になる原理を利用しています。詳しくは辰砂釉と鉄赤釉の項を見てください。
       これとは別に、酸化錫の入った釉薬にクロムを入れてアルカリ分の強めの釉薬にすると、クロム赤釉といって、赤く発色します。これは、酸化焼成のみ発色して、還元焼成だと萌葱色になります。
       最近は、赤色顔料が市販されていますので、これを使えば赤色が作れるかもしれません。ただし、この赤色顔料は高価ですので、試したことはありません。どなたか試される人は結果を教えてください。

      アイボリー-ルチールを5~10%程度入れて酸化焼成すると、チタンの乳濁作用と鉄分の作用により象牙色から黄色みを帯びた色になります。ルチールの量が多くなるにしたがって黄色味が強くなりますが、黄色になることはありません。赤土の場合の方が効果が大きいようですが、白土の方が色は綺麗になります。ルチールの無い場合は酸化チタンと酸化鉄を入れると得られます。
       砧青磁等のマット調の青磁釉を酸化焼成すると、青磁釉の中の鉄分の影響で濃いアイボリー色になります。ただし、青磁釉にも各種種類がありますので、調合によってそれぞれ色合が異なってきます。一度試し焼きをすることをお薦めします。

      -酸化アンチモンと酸化鉛の組み合わせによっても得られます。簡単に作る場合は、黄色顔料を使います。ただし、アンチモンや顔料を使った場合は、酸化焼成でないと黄色になりません。還元焼成だと灰色になったり変色してしまいます。還元焼成でも黄色にしたい場合には、チタン黄という顔料または黄呉須を使用します。
       茶色味を帯びた黄色の場合は酸化鉄を3%程度入れて酸化焼成すると得られますが、これは黄瀬戸釉の色です。焼成はもちろん酸化だけです。詳しくは黄瀬戸釉の項を見てください。

      -簡単に黒釉を作るには黒色顔料を用います。安定して出せるのは濃黒という顔料です。ただし、酸化焼成が原則です。還元焼成だと灰色味を帯びます。その他、金属類を調合して作る場合は、酸化鉄-6、酸化マンガン-3、酸化クロム-2、酸化コバルト-1を混ぜ合わせます。コバルトの影響で少し青っぽい黒色を作ることが出来ます。こちらは還元焼成でも大丈夫です。
       単純に、鉄だけで黒くするには、カオリンとマグネシアを入れていくと黒天目釉になります。ただし、天目釉と同じで真っ黒にするのは難しく、釉薬の薄い部分は茶色っぽくなります。しかし、顔料で作った青っぽい色合や金属類で作った平たんな黒色に比べると色に深みを出すことが出来ます。
       白マット釉に黒色顔料を入れると、黒マット釉になります。これも単純な黒色ですが、安定した黒色マット釉が出来ます。

      -簡単に茶色釉を作るには茶色の顔料を用います。茶色の場合は、酸化焼成でないと色が出ない場合がありますので注意が必要です。
       また、酸化マンガンを使う方法もあります。マンガンは、鉛釉の場合は紫になり、アルミナと混ぜるとピンク、いわゆる陶試紅になります。二酸化マンガンを単味で使うと、酸化焼成で褐色になります。鉄を組み合わせると少ない量でも褐色にすることが出来ます。ただし、還元焼成すると灰色になってしまいます。


  4. 2種類以上の釉薬を混ぜてみよう

     自分のオリジナルの釉薬を作る手段として、一番手っ取り早い方法は、2種類の釉薬を混ぜる方法です。例えば、透明釉と白マット釉を混ぜると、半ツヤのマット釉にります。木灰釉とビードロ釉を混ぜると御深井釉に近いものが出来ます。
     ただし、どの釉薬を混ぜても使えるというものではありません。例えば、トルコ青釉と織部釉を混ぜると、アルカリと酸の影響でブクが出てしまいます。作る前に何度か実験を重ねてから作らなければ危険です。混ぜ合わせると使えない釉薬でも、上掛けすると大丈夫の場合がありますし、反対に上掛けするとダメになってしまう釉薬もあります。各釉薬の特性を考慮して行う必要があります。しかし、全部の釉薬の特性をすべて把握するというのは不可能ですので、少しづつ取り出して実験して行く地道な方法しかないということになります。
     微妙な雰囲気にこだわるのであれば、2種類以上の同じ系統の釉薬をブレンドして、自分のオリジナルの釉薬を作るのが手っ取り早い方法です。例えば、白マットでもメーカーや品番によって多種の白マットがありますし、白釉とか乳白釉を混ぜてもかまいません。藁灰系統の釉薬になると、膨大な量の釉薬があります。
     もちろん、何度もテストを重ねなければ作れませんが、一度気に入ったものが出来ると、例えば白マット一種類については、自分のオリジナルで一生使えます。ただし、市販の釉薬は、天然材料を使用していますので、購入時点でどうしてもいくらか変化しています。したがって、自分の気に入った釉薬を発見した場合は、一生使えるだけの釉薬を買い込むことが理想です。経済的と場所的な制約がありますが・・・。

  5. 釉薬の濃さ、厚さ

     釉薬には、それぞれに合った濃さと厚さがあります。これが分からずに釉掛けや本焼を行うと、剥離したり、釉飛びしたりする危険性があります。焼成したら全くかかっていなかったり、ムラになったりすることもあります。確実に焼成するには、ボーメ比重計で常に釉薬の濃度をチェックしておくことが大切です。釉薬の量が少なすぎてボーメ比重計が入らない場合は、筒状になった入れ物に釉薬を取り出してこの中で測ります。ペットボトル等を利用しても良いでしょう。
     次に各釉薬の大体の濃さの目安を書いておきます。これはあくまでも目安であって、素地土の粗密性、焼成温度、釉薬の雰囲気等によって、様々に変化するので、自分に合った濃さは自分で見つけだしてください。ボーメ比重計を使用するのは、あくまでも自分なりの濃さを知るのが第一の目的です。最初は全く分からないので、とりあえずこの表で焼成してみて、その後焼成毎に釉薬の濃度をメモしていけば、いずれは自分の釉薬の濃度が分かってくる筈だと思います。

    釉薬名称

    ボーメによるボーメ度

    乾燥原料1kgのときの水の量
     (cc)

    釉薬の厚さ  (ミリ)

    備考

    伊羅保釉

    30~35

    900~1000

    0.5

     

    黄瀬戸釉

    35~40

    850~900

    0.5~1.0

     

    土灰釉

    40~50

    750~850

    0.5~1.0

     

    石灰釉

    40~50

    750~850

    0.5~1.0

     

    織部釉

    50~55

    700~750

    1.0~1.5

     

    柿釉

    50~55

    700~750

    1.0~1.5

     

    鉄赤釉

    50~55

    700~750

    1.0~1.5

     

    天目釉

    50~55

    700~750

    1.0~1.5

     

    藁灰釉

    50~55

    700~750

    1.0~1.5

     

    貫入釉

    55~65

    600~700

    1.5~2.0

     

    油滴天目釉

    55~65

    600~700

    1.5~2.0

     

    青磁釉

    55~65

    700~750

    2.0~3.5

    重ね塗り

    志野釉

    60~70

    500~600

    2.0~3.0