石膏型を作ろう
 

 石膏型の作り方を紹介します。石膏型は、同じものを大量に作る時に大変便利です。アマチュアの方は同じものしか出来ないということで敬遠される方がおりますが、とりあえず型で作って後で自分の好きな形に変更するという美味しい使い方も出来ますので、何個かあれば便利だと思います。プロの作品を見ても半分程度は型で作ったと思われる作品があります。上手く作るとロクロで作ったものとの区別がつかないようなものも出来ます。
 はじめに、石膏について少し解説します。
 一般的に使われる焼石膏には、JIS規格によってその品質が細かく規定されており、大きく分けると特級、A級、B級、C級の4等級に分類されます。一般に上級のものほど使用する水の量が少なく、白色できめが細かくなり、強度や耐久性に優れています。
 陶磁器産業で一般的使用されるのは主に特級製品で、この中には、ケース用、元型用、機械ロクロ用、鋳込用等があります。しかし、個人がわずかに使用するのであれば一般教材用として市販されているB級で十分に使用できます。ここではこのB級を使用するものとして話を進めていきます。もちろん、特級のケース用石膏を使用すれば強度も耐久力も増すので非常に扱いやすくなります。一般用を扱う場合には、非常に気をつかわないと割れたり傷が付いたりしますが、ケース用を使用すればそういうことは少なくなります。

<材料>
材料は次のとおりです。
1.石膏 (一般に工作用、教材用として売られているB級石膏で十分です。凝り性の方は特級のケース用をどうぞ)

2.石膏を混ぜるもの (専用のものも売られていますが、何でも可能です。ここでは塗料用のバケツを使用します。)

3.その他 (石膏を混ぜる棒、型を作るものその他です。)


<作り方>
1.石膏型をとる原形を作る。
 石膏型をとる場合、当然型をとるものが必要になります。これを原形と呼びます。原形にはオス型とメス型があり、オス型は石膏でとる型と同じ形状のもの、メス型は石膏を流し込むよう出来ている器です。精密なものはオス型を作りますが、通常の器の型はメス型で十分だと思います。
 原形は何でも出来ます。ここでは粘土で作っていますが、発泡スチロールやタッパ、洗面器、ステンレスボール、風船やビーチボール、ナイロン袋の中に石膏を入れることも可能です。ただし、ステンレスボールや洗面器のように硬いものを使用する場合には、内側にたっぷりとカリ石鹸を塗っておきます。
 ここでは、粘土を使った原形を作ります。ロクロでこのように挽いても良いですし、手捻りで作ってもかまいません。注意点は、口の部分を薄くしないことです。最低でも1センチ以上の厚さにしてください。薄いと石膏を入れた時に石膏に含まれる水分で粘土が崩れて石膏が流れ出てしまいます。出来れば口の部分をガムテープ等で補強すれば良いのですが、そこまでする必要もないと思います。

2.石膏を作る。
石膏に水を混ぜて使用できる状態にします。石膏が水と反応して凝固するのに必要な水の量は理論的には石膏粉100に対して水18.6%でしかありません。しかし、実際には水と石膏粉をまんべんなく反応させ型に流し込めるだけの水の量が必要となります。これは、特級で50〜70、B級で75〜80です。使用する石膏の量が分かっている場合には、この水の量を正確に計って使用した方が安全に作ることができます。
 ここでは、一般的な方法を紹介します。まず、水を必要量だけバケツに入れます。そこに静かに石膏を入れていきます。この時にダマができないようにします。

 水の中に石膏を入れていくと、即座に石膏が反応していきます。石膏100に対し、必要な水の量は75ですから、石膏が水面よりも1割程度出るくらいまで石膏を入れます。
 その後、1、2分静かに放置します。そうすると、表面に出ていた石膏も水を含んで平らになっていきます。しばらくして、石膏よりも水面の方が高くなったら、上水を捨てます。石膏の島がどうしても沈まない場合は、バケツの外側を叩いて振動を与え、均一にします。

 その後、丸い木の棒で素早く200回から300回程度撹拌します。時間は2、3分、長くても4分以内です。撹拌は、一定の速度と方向を保ちながら静かに力強く回します。撹拌していると、少し重くなってきます。そうすれば出来上がりです。あまり時間を掛けすぎると石膏を型に流し込んでいる間に硬化ししてしまうことになりますし、撹拌不足の場合水と石膏が分離してしまいますので、この撹拌作業がもっとも難しい作業になります。

3.型に石膏を流し込む。
 石膏が出来たら、型に静かに流し込んでいきます。この時に気泡が出来ないように注意しながら流し込みます。もし気泡が出来たら息を吹きかけたり小筆などで消してください。
 金属製やガラス、プラスチック等の硬い型を使っている場合には、前もってカリ石鹸を型の内側に塗っておきます。カリ石鹸は、ペースト状になった石鹸ですが一般的ではないので、剥離剤として使うのであれば自動車用のワックス、ワセリン、粉石鹸、化粧石鹸等も使用できます。ただし、合成石鹸は使用できません。剥離剤は、あまり薄く塗ると効果がありませんが、厚く塗りすぎても石膏の表面が汚くなるので注意が必要です。

4.振動を与えて気泡を追い出す。
 必要な石膏を流し込んだら、型の表面を軽く叩いたりゆすったりして、型を振動させて空気を抜くと同時に石膏の表面を平らにします。マッサージ用のバイブレーターがあれば効果抜群です。バイブレーターを使う時は、床面や下の方を振動させます。上部を振動させると石膏が飛び散ってしまいます。
 特に、石膏と型との間に気泡があると大問題ですし、表面が平らでないと型を使うときに非常に使いづらくなってしまいますので念入りに行う必要があります。ただし、表面が固くなりだすと逆効果になりますので、あまり長時間行わないことが必要です。


5.取っ手を作る。
 石膏に流し入れたら、粘土の固まりを2個作ります。これは、石膏型の取っ手になる部分を作るためのものです。手が入る隙間を作りますので、自分の指の大きさを参考にして大きさを決めて下さい。大体、指が2、3本入るくらいの大きさが使いやすいと思います。

 石膏の表面が少し固まりだしたら、先に作っておいた粘土の固まりを石膏の表面に置いて、表面が見える程度に埋め込みます。石膏が柔らかいと沈んでしまいますし、逆に固くなりすぎていたら埋まりませんので、タイミングに気をつけてください。
 その後、30分程度で石膏が40度くらいまで熱を帯びてきます。表面を触ってみて熱く感じたら石膏を型から外します。このタイミングが早すぎると石膏が崩れてしまう危険性がありますし、逆に遅いと型から外れにくくなったり石膏を壊したりすることになりますので、タイミングに注意します。型の方も、まだ柔らかい状態なので、石膏が外れない場合は石膏を傷つけないように型の方を壊して外します。
 型から外したら、石膏型を成型する場合はこの時点で行います。ある程度石膏に水分が含まれているので粉末で飛び散らない分作業がしやすくなります。
 その後、完全に石膏の水分が抜けるまで乾燥させます。実際に石膏型として使用出来るのは、1、2週間乾燥させる必要があります。



6.大きい石膏型を作る場合。
 大きい石膏型を作る場合は、型の内側に全て石膏を流し込んだら、石膏を大量に使わなくてはいけないし、型自体も重くなって使い勝手が悪くなるので、作った型の中に全部石膏を入れずに、必要な厚さに仕上げるように作ります。目安としては、石膏の厚さが3センチくらいです。石膏が少し硬くなった状態で、型の中に石膏を流し込むのではなくて、石膏を張り付けていきます。作業に手間がかかると、石膏がどんどんと固まってしまうので、見栄えよりも厚さを均一にすることに重点をおいて作業します。
 石膏を流し込んだら、強度的に弱いと思う場合は、補強します。石膏が乾燥したら、石膏型の中に適当に粘土で壁を作り、この中に石膏を流し込んで壁にします。



7.合わせ形の石膏型を作る場合。
 やきもので、同じものを大量に作る場合には、合わせ型の石膏型を作ると楽になります。石膏型で、合わせ型を作る場合は、石膏の流し込みが2行程になります。合わせ型は、石膏型から粘土が外れるようにすることがまず一番大切なことです。 6.完成品およびこの型で作った作品