ロクロ成形、1個挽きについて
注意事項
ロクロの一個挽きにも、いろいろと作り方があります。10人居れば10人、それぞれが違う挽き方をします。要するに、最終的に形が出来ればそれで良いわけで、絶対にこうしなければいけないというものはありません。
したがって、ロクロのコツは無いというのが結論です。(笑)
ただし、初心者の人にそれでは可哀相ですので、ここでは私が挽いている方法について書いていきたいと思います。もちろん、これがベストということではありません。もっと良い挽き方が山のようにあると思います。
私の挽き方ということで、ロクロが右回転の場合のみです。左回転で使っている人は、参考程度に見て下さい・・・。
Ⅰ 芯出し、土殺し
ロクロでの一個挽きの場合は、数挽きのように、土を長く伸ばしたり縮めるといった作業が出来ないことと、ロクロの上に直ぐ土を置くために、慣れないと、ロクロの力に負けて、なかなか芯出しや土殺しが出来にくくなります。特に土殺しは、なかなか思うように出来ません。
そこで、普通の数挽きとは、少し違う方法で土殺しをした方が楽に土殺しが出来るようになります。ここでは、その方法を書いていきます。
少ない土の土殺しの方法は、土を効率よくロクロと同じ方向に向けてやるということです。これには、循環運動をさせるのが一番てっとり早いと思います。まず、表面の土を外側に移動させて、下に下げ、更に中に押し込み、引き上げます。すると、土が効率よく回転するために、少ない量の土でも十分に土殺し及び芯出しが出来るようになります。
それでは、次の手順を書いておきます。
1.土良く練る
ロクロを使う際の絶対条件として、土の硬さを均一にするということがあります。土の硬さが違っていると、柔らかい部分は抵抗が少ないために良く伸び、硬い部分は抵抗が大きいために伸びないということになります。
これは、ロクロを挽くと分かりますが、自分が下手になったような錯覚さえ与えかねないくらい挽きづらいものです。したがって、ロクロ成形の際には必ず土を練ってから行うようにしましょう。
また、新しい土と古い土や、ロクロ成形の際に失敗した土等を混ぜても硬さに違いが出てしまいます。こういう場合も、練って硬さを均一にしてからにしましょう。
2.土を玉にして、ロクロの中心に置く
球形の作り方は、ダンゴや餅を作るのと同じ要領です。といっても、作ったことの無い人の方が多いと思いますので、作り方を簡単に説明すると、手のひらの中央、少し凹んだ部分を利用して両手で丸いおむすびを作るように球形にしていきます。
球形になったら、ロクロをフリーにして、回しながら叩くようにロクロの中心に置きます。この時に、簡単に外れないようにしておきます。少し水を付けると良いでしょう。
土の形は、常にロクロの中心部が凸になるように意識して形作りましょう。平坦にすると、中心部が凹になったりします。
3.とりあえず、押さえつけます。
そのまま、引き上げると、ロクロから土が外れてしまう恐れがありますので、とりあえずロクロと密着させる意味からも下に押さえつけましょう。
図の黒点がロクロの中心、赤点が手に力が入る点です。赤線が手の移動する方向、青線が土の移動する方向です。
土を押さえる位置は、右回転の場合は中心から右45度少し手前の当たりです。これは、大量の土の場合の土殺しと全く同じで、手の押さえる場所点は親指の付け根あたりですが、これも同じです。
この時に、水はたっぷりと付けましょう。この時に、手に水を付ける人がいますが、土に直接付けた方が簡単です。この時点では、ドベを使う必要はありません。
4.下横方向に押しつけていきます。

通常の土殺しの場合は、右手がロクロに着いたら、下げるのを止めますが、一個挽きの場合は、ここから更に下に押さえ込みます。この時に、手を動かす方向は、下ではなく、下右方向に動かします。土が邪魔をするので、単に下方向に押しても、これ以上は下がりません。
当然ですが、土は横に広がります。
5.広がった土を土の下に押し込みます。

次に、横に伸びた土を、ロクロの中心、土の中に押し込むようにすぼめます。この時に、表面だけを押すと土の上面に穴が開きますが、中に押し込むことによって、そのままの形のまま土が伸びます。逆に、このように中に土が移動しないと、芯が出ません。
6.土の表面を平らにします。

土を押し込んで、更に上の部分を細くすると、上写真のように土の上部に凹凸が出来ます。これは、土の粒子の方向があちこちに向いているために、抵抗のある部分とそうでない部分との差または土にねじれが出来て、これが土を持ち上げたために上に張り出してきたためです。
この凹凸を平らにしなければいけませんが、両手で土の芯がぶれないようにしっかりと支えておいて、右手親指の付け根で土を前方に押しつけます。
しばらく、この動作を固定してやると、土の上部が平らになっていきます。これで上部の土殺しが出来た訳です。
7.上方向に伸ばします。

更に、上方向に中心が狂わないように伸ばしていきます。これは、通常の芯出しの方法と全く同じ動作です。したがって、両手の小指の付け根当たりに力が入るように持って、中心が狂わないように、上に引き延ばしていきます。
この時に、下に入り込んだ土は上方向に伸びていきます。すなわち、上にあった土が横から下に入り込み、更に上に持って行かれたということになります。これが土の循環です。
伸ばすとき、右手の親指は土の上端を押さえながら持ちます。どうしても、土殺しが完全でないと土を伸ばすと、ぶれが上部に出てくるので、これを押さえてぶれを防ぐためです。
伸ばし終えると、このような形になります。下が太くて、上にいくほど細くなります。これも、やはり土殺しを完全にするための形です。
もちろん、土の種類によっては、もう少し伸びたり伸びなかったりといろいろです。必ずしも、この形になるとは限りません。ただし、基本的な形はどんな土であっても全て同じです。必ず円錐の形になるように作りましょう。
8.これらの一連の動作を繰り返しましょう。
この一連の動作は、一度行ったくらいでは土殺しは完全には出来ません。何度か繰り返して、完全に手に凹凸のぶれがなくなるまで行いましょう。土殺しが出来ていないと、作る時に穴を開けただけでぶれたりねじれたりしますので、「まあ良いか」などと思わずに、確実に行いましょう。薄く伸ばすコツは、実は芯が完全に出ていることと土殺しが出来ていることが第一条件なんです。ただし、水を付けすぎたり、やりすぎて土が軟らかくなりすぎるものダメです。
Ⅱ 形を作る
さて、芯出し、土殺しが終わったら、いよいよ形を作っていきます。
ここからは、水の代わりにドベを使って作りましょう。何故かというと、薄くなるにしたがって、水の廻りが早くなって土の腰がなくなってしまうからです。腰がなくなると、いくら薄くしても、少しの振動で上から土が落ちてしまうため、伸ばすよりも縮めることになってしまいます。こうなると作れませんので、つぶして、新しい土で挑戦しましょう。
なお、水分がなくなると、振動が起きて土がへたったり、ねじれたりしますので、絶対にドベを切らしてはいけません。ドベがない場合は、スポンジを使い、表面を濡らして必要な分の水分だけを与えるようにしましょう。
1.中心から穴を開ける
最初に、中心から穴を開けます。穴の開け方は自由です。人によって様々です。片手で開ける人もいれば両手で開ける人もいます。親指で開ける場合も人差し指、中指等で開ける場合もあります。要するに、穴が開けば良いのです。
2.皿割りを行う
皿割りとは、ロクロ成形の時、最初に一度皿の形を作ることです。
この皿割りを行うことによって、下の部分の土を薄くすることが出来る、ねじれ防止が出来る、底を締めることが出来る、底の角を直角にすることが出来る、等の利点があります。
ねじれ防止になるというのは、最初に土殺しを行なう時に、土の芯の部分は実は芯出しが出来ていないのです。そこで、皿に広げた時に中心を上下の手でしっかりと締めてやると同時に土殺しも行える訳です。
更に、上側の手でしっかりと締めることにより、底になる部分を締めることが出来ます。これを行うと、水切れの率が少なくなり、ロクロから取り外した時に形が変形しづらくなります。
また、一度皿の形にしてから縁を起こすために、角を90度にすることが出来ます。これにより、腰の部分に余分な土を残すことが少なくなります。
皿割りの時の注意点としては、あまり薄くしないということです。薄くすると、この後の動作の時にシワが寄ったりぶれたりすることがあります。
皿の形が出来たら、底を締めて平らにします。これと同時に横の土を起こしていきます。
3.ぐい飲みの形を作る
皿割りの形が出来たら、ここから縁を持ち上げて、起こしていきます。この形がぐい飲みの形に似ていることから、ぐい飲みのかたちと言われていますが、当然実際にぐい飲みを作る訳ではありません。この時に、力加減によって角を付けることも出来ますし、丸い底にすることも出来ます。今回は、マグカップを作りますので、角を付けた形にしています。
ぐい飲みの形にするには、最初は皿の下から手を入れて、起こすように上に持ち上げます。無理に持ち上げようとすると歪むので、ロクロの回転に合わせて持ち上げます。
次に、両手の親指と人差し指で輪を作り、挟み込むようにしながら、両手で上に持ち上げていきます。
無理に筒にすると、ゆがみが出たりブレが出たりします。口の部分の中心が狂うのは、この時点で無理をする場合が多いので、ぶれないように心がけながらすぼめていきます。
4.伸ばしていく
ぐい飲みの形になったら、大まかな形作りはほぼ終わりです。後はひたすら薄く伸ばしていくだけです。
しかし、一気に伸ばすとねじれや切れが出来るので、何度かに分けて伸ばすと良いでしょう。慣れない内は、上の部分を先に伸ばして、それから下の部分を伸ばすようにすると、比較的簡単に伸ばすことが出来ます。
とりあえず、この段階では仕上げまでの伸ばしは行いません。均等に伸ばすことだけに心がけましょう。
伸ばす時のポイントは、上に行くに従って、手の力を抜くことです。下の部分は、上の土の重量も加わるために、相当な力を入れて締めないと、伸びていきませんが、上に行くに従って、重量が軽くなっていきます。これに対応して手の力も抜いていく必要があります。
また、内側の手は壁になるので力は入りませんが、外側の手はしっかりと締めていくために、強く押す必要があります。土との抵抗をなるべく少なくなるような形、即ち指先だけで作るようにしましょう。初心者の場合は、どうしても中心がずれるのが怖いために、指や手のひら全部で作品に触ろうとしますが、これは余計にぶれるだけで逆効果です。
5.外側に両手を持って、すぼめていく。
そのまま均一に薄くなるまで伸ばして行きますが、口の部分や全体に広がったり、下に土が残っている場合、またはぶれやねじれが出来た場合などの時は、両手で器の外側を持って、上が細くなるようにすぼめていきます。
この時点で、ブレは上に抜けていきます。そして、広がった口もすぼまります。この上がすぼまった形になったら、また薄く伸ばしていきます。
口の部分が広がってしまうと、どうしても下の部分を伸ばすことがやりづらくなるのと、ブレが出てくることがあるので、そういう時はこの作業を行いましょう。ただし、何度もやると、だんだん形が狭まってきますので注意しましょう。
6.更に薄く伸ばしていく。
いよいよ、更に薄く伸ばしていきます。底が厚いようだったら、内側の手でしっかりとガードしt状態で、外側の手で底を締めます。ただし、底の土が厚い場合は締まりませんので、その上から締めます。
締めると、段差が出来ますので、この段差をそのままの状態で上に移動させるように伸ばします。決して段差がなくならないように心がけて伸ばしていきましょう。そうすると、かなり伸びる筈です。要するに、底の厚さが薄くなった分上に伸びるということなのです。
ここでのポイントは、ロクロの回転を遅くして、ゆっくりと均一なスピードで伸ばしていくことです。手が不規則に動いたり、無駄な動きがあると、直ぐにぶれたり歪んだり、高さが落ちたりしますので、細心の注意を払って慎重にのばしましょう。出来れば、息を止めて指先だけに神経を集中させましょう。
7.まだまだ伸ばしていく。
伸ばしていくと、途中で水分が不足する場合があります。通常はドベを付けますが、てっとり早く補充するには、小さいスポンジを用意しておいて、これに水を含ませて、作品の内側と外側に水を付けていきます。ドベをなすりつけるよりは効率的に水分が補充できますし、付ける水の量を最小限にすることが出来ます。
伸ばすコツは、ゆっくりと同じ速度、同じ持ち上げ方で伸ばしていくことです。ロクロ目が細く、規則正しく入るようになれば出来ているということです。
伸ばす時は、必ず一番下から上まで躊躇なく一気に伸ばしましょう。最初の方は、上の部分と下の部分とに分けてもかまいませんが、この程度の厚さになると、少しのぶれが致命傷になります。したがって、流れるように止まらずに伸ばして行かなくてはいけません。
8.もし、口が歪な場合は、針で切り取る。
もし、中心がずれたり、ブレが出て、口の高さが違ってしまったら、針で切り取ります。
針は、上からではなく、側面から切るようにします。出来るだけ針の先の部分を持って、もし右回転であれば作品の内側左側面を、左回転の場合は作品の外側側面を切ります。
針で切る場合は、必ず反対側を手で押さえておきましょう。そうしないと、崩れてしまうことがあります。また、針は回転方向に流れるように持っていきましょう。そして、少しずつ切ることです。決して一気に切ってはいけません。
もし、石の多い土を使う場合は、特に慎重に切りましょう。
針の代わりに、弓を使う場合もありますが、このくらいの薄さになると、弓では形が崩れる恐れがあります。針の方が確実に切り取れると思います。
9.最終的な形を作ります。
完全に伸ばしたら、最終的な形を作ります。必ず、真っ直ぐに伸ばしてから最終的な形を作りましょう。伸ばしながら形を作るのは、よほど慣れないとまず無理です。
最終的な形の時に、もし底を広げるような時は、底は最後に広げます。薄くなってから先に底を広げると、どうしてもブレが出てきて、上を作る時にはかなりぶれてしまいます。
形を作る場合は、必ず下から上に動かしていきます。上から下に動かすと、その時点でへたって高さが低くなってしまいます。
茶碗や鉢のように上をかなり広げる場合には、段階的に上から広げていきましょう。まず、口の部分を広げ、次にその下の部分を上に伸ばしながら広げます。そして、最後に下から上に伸ばしながら広げます。大体3段階くらいに広げると上手くいくでしょう。一気に下から広げようとすると、やはりぶれが上に広がっていきます。
10.ロクロ目を付ける場合は、ここで付けましょう。
ロクロ目を付けると、勢いのあるように見えます。ロクロ目は、慣れない内はつぶす確立の方が大きいので、つぶす覚悟で付けるか、自由に作品が動かせるようになるまでは止めておきましょう。
コツは、外側の手の指の位置と内側の手の位置がずれていることです。必ず、外側の手が下になります。内側の手で壁を作って、その下の部分を外側の手の指で押してへこませていく訳です。これを連続して、下から上までゆっくりと付けていけば完成です。
ただし、ロクロ目を付けている最中は、かなり口の部分が歪みます。しかし、怖くなって手を離さないで最後までいきましょう。途中で止めるとつぶれてしまいます。
極端なロクロ目でなくても、筋を付けるだけでもかなり勢いがあるように見えます。この場合は、中の手と外の手が同じ位置でかまいませんので、ゆっくりとロクロを回転させて均一に筋を付けていきましょう。
ヘラやコテを使う場合には、外側の手だけ付けるようになります。また、ロクロ目を付けたくない場合には、なめし革を全体に当てて、手跡を消すようにします。
11.腰の部分の土を削り取る。
この作業は、乾燥してからやってもかまいませんが、私は柔らかいうちに行います。そうすることによって、削る手間を省くことが出来ます。
なお、この作業は、次のドライヤーを当てる作業と対になります。この時点で側面を薄くしてしまうと、ロクロから取る時に歪んだり崩れたりするからです。
方法は、ロクロをゆっくりと回転させて、竹ベラを直角に当てて、少しずつ削り取ります。この時に、作品の内側が凹まないように確認しながら削り取りましょう。
削り取ったら、削り跡をなめし革で綺麗にします。そうすると削り跡が分からなくなって、薄くロクロを挽いたように見えます。
12.ドライヤーで側面を乾燥させる。
最後に、ロクロを回しながらドライヤーの温風で作品の側面下部を乾燥させます。これを行うことによって、変形しないでロクロから取り外すことが出来ます。ドライヤーを使わない場合は、カメ板等を使って柔らかいうちに持たないようにします。高台のある場合は、高台の下を締めてから外すことが出来ますが、高台の無い形の場合は、乾燥するまで外す方法はありません。
13.終了です。次の作品を作ります。
これで、一個挽きが終わりました。切り糸でロクロから外して、板の上に置きましょう。ケイカルボードがあれば便利です。切り糸は、釣り用のナイロン被覆ワイヤーが便利です。出来るだけ細いワイヤーを買いましょう。ロクロに着いた土は残しておいて、この上に土を置けば良いでしょう。どちらにしても、最後まで残る土ですから。

