置物作り講座(紐作りでネコを作ろう)

 さて、イヌが完璧に作れるようになったら(ならなくても良いですが・・・)、今度はネコを作ってみましょう。
 ネコの表情の方が、目が大きい点や鼻や口が小さい点など、イヌよりも難しくなります。しかし、時間をかけて愛情を込めて顔を作っていくと、それらしく見えてくるものです。頑張って作りましょう。
 作るのは、やはり子猫に限定しました。理由はイヌの場合と同じで、顔を大きく作れるので割と楽に出来る点、デフォルメしても、子猫ということで許してもらえそうな点等です。


Ⅰ お座りをしたネコを作る方法

   ネコの場合は、あまり立った姿は絵になりません。何故でしょうか・・・。それはさておき、座った姿のネコを作りましょう。
 ネコの種類は、適当です。厳密にいうと、目の大きさや口、耳の大きさ、形が種類によって違ってきますが、とりあえず一応ネコに見えることを目標として、頑張って作りましょう。
 上手く出来ない場合は、デフォルメして、マンガチックなネコにすると案外簡単にできちゃいます。

イヌとネコのポーズの違い。
 まず、作る前にイヌとネコのポーズの違いを研究しましょう。
 イヌは、座る時に、後ろ足を開いて座りますが、ネコはお行儀良く後ろ足は閉じて座ります。したがって、イヌのように後ろ足の膝部分は毛に隠れてほとんど見えません。
 次に、イヌの背中は比較的真っ直ぐになっているのに対し、ネコは猫背というくらいに背中が曲がっています。この特徴を出すと、ネコに見える訳です。
 最後に、イヌは前足を開いて座るのに対し、ネコはきちんと両足を揃えて座ります。しかも、後ろ足にくっつけて座ります。したがって、後ろ足と前足4本を全て揃えて置くと、それだけでネコに見える訳です。
 ただし、子猫の場合は親ネコほど顕著には表れません。胴体や手足が短いので、まだ決めポーズが出来にくいのでしょうか・・・。前足を揃えるポーズも、親ネコの場合はヒジから下がほとんど揃って座りますが、子猫の場合は足先が揃うか揃わないかです。したがって、前足を少し離すと、より子猫らしくなります。
 それでは、これを踏まえて子ネコを作っていきましょう。

1.紐を円錐状に積みます。
 最初の方の作り方は、イヌの場合と全く一緒です。ロクロの上に、紐を円錐状に積んでいき、紐のつなぎ目をならして表面を綺麗にします。
 この場合、外側を綺麗にするだけでかまいませんし、完全に凹凸を取ってしまう必要はありませんが、出来るだけ平らに作った方が、後の仕上げが楽になります。
 慣れてきたら、最初からネコの形に作ることが出来るようになりますが、最初はどこをどうやればネコになるのか分かりませんので、とりあえず紐を円錐状に積み上げるところから始めましょう。

2.お座りの形に加工します。
 次に、お座りをした形に加工していきます。
 まずお腹の部分を平らになるくらいにへこませます。次に、後ろ足をくっつけます。ネコの場合は、イヌのように後ろ足を外に開いては座りませんし、毛が折り曲げた足を隠してくれますので、イヌのように膝を折り曲げた形に作る必要はありません。
 またネコの場合は、お座りをした時に後ろ足は足先しか見えませんので、後ろ足をくっつける時も、そのように付けます。

3.紐を上に伸して、前の方に折れ曲がった形に作ります。
 後ろ足が出来たら、紐を足して上に伸していきます。とりあえず、真っ直ぐに伸していきますが、途中から急激に前に折れるような形にします。
 これがネコの猫背の部分になります。足が付かない時は、この写真くらいの折れ具合になります。折れる位置は、背中の上、肩の下あたりになります。
 本来ならば胸も前に出るのですが、これは前足を付けてからの方が作りやすいと思います。とりあえず、極端に前に折れ曲がった形に作ることです。

4.前足を作ってくっつけます。
 次に前足を作ります。紐作りで作った土を足の格好に加工して、胴体の胸の横、肩の部分に取付けます。
 ネコの場合は、前足と後ろ足及び前足どうしがぴったりとくっつくようになりますが、とりあえずは前足をしっかりと胴体にくっつけることを優先します。
 前足を取付けると、胴体が前に傾いて不安定だった形が、落ち着いて見えるようになります。この時点で、胴体の胸の膨らみも出しておきましょう。

5.前足をネコらしく整形していきます。
 この時点で、ネコの胴体部分の仕上げをします。前足を後ろ足になるべく近づけて、更に両足をつま先で揃えます。親ネコの場合は前足のヒジから下あたりをくっつけますが、子猫の場合はつま先だけを揃えた方が可愛く見えます。

6.顔の部分を紐で整形します。
 胴体の部分がほぼ出来たら、いよいよ顔の部分の制作に入ります。
 イヌの時と全く同じ方法で、とりあえず顔の前半分を作ります。紐作りでも板に伸した土でもかまいませんので、顔の前面に取付けます。
 顔は丸みを持たせます。イヌの場合は、前方に突出したような形になりますが、ネコの場合はほとんど扁平の球形です。ラグビーボールを横にした形と言ったらいいでしょうか・・・。

7.顔に肉付けしていきます。
 次に、イヌの場合と同じように、のっぺらぼうに顔に肉付けをしていきます。鼻、ほほ、下あご等です。イヌとの違いは、額はそれほど前に出ない点、まぶたも出ない点、ほほはかなり膨らむ点等です。
 この作業は、イヌの場合と同じで、必ずしもくっつけて作る必要はありません。最初からネコの顔の形に作っても結構です。ただし、ここでは初心者用ということなので、顔のどの部分が出ているかを分かりやすくするために、土をくっつけています。  この作業は、イヌの場合と全く同じで、平面的にならないように、あらゆる角度から見たり、遠くから見て、肉付けしていきましょう

8.目を付けます。
 顔の肉付け、輪郭が出来たら、目を取付けます。ネコの場合は、目がかなり大きいので、大きさには注意しましょう。また、イヌの場合は黒土を付けましたが、ネコは黒目が少ないのと目の色が黒ではないので、ここでは同じ土を埋め込んでいます。
 イヌの場合は、目は玉にしましたが、ネコの目は大きいので、ツブした形で埋め込んだ方が良いと思います。輪郭にそって穴を彫ってから埋め込むのはイヌの場合と全く同じです。


9.顔の整形を行います。
 目を取付けたら、顔の整形を行っていきます。
 実は、ここからが一番時間と手間のかかる部分になります。多分、慣れないと今まで費やした時間よりも長くかかるかもしれません。
 目の形や大きさに注意しながら、ネコの目の形を作ります。目の形は、レモンに似ていますが、切れ目の位置が鼻の部分と反対側ではかなり違いますし、イヌが横も見られるように少し外側を向いているのに対し、ネコの目はほとんど正面しか見られません。
 額は、イヌの場合は真ん中がへこんでいますが、ネコの場合は額の真ん中は少し膨れています。このように、細かな部分にも気を配って作っていきます。

11.耳を付けます。
 顔が細部まで出来上がったら、顔の最後の作業として耳を取付けます。
 耳の形は写真を見てもらえれば分かりますが、単純な円錐状ではありません。根元の部分は太くて、先に行くに従って細くなりますし、形も弓なりですが根元の方が急です。
 取付ける位置も、根元が前になります。真っ直ぐに取付けるとイヌみたいに見えますので、注意しましょう。
 さて、耳を取付けるとネコに見える筈です。ここでネコに見えない場合は、再び顔の表情を作っていきましょう。諦めずに、根気よく表情を作っていくことが、可愛らしいネコを作る秘訣でもあります。
 ただし、一部分だけを集中して作ると、バランスの悪い顔になりますので、時々全体の配置や大きさを見直して、バランスが悪くならないようにしましょう。また、入れ込みすぎると、だんだんとヘンな顔になってしまいますので、時々息抜きをしたり、他人に見せて意見を聞いたりして、客観的に作るのも一つの手です。

11.紐作りで穴をふさぎます。
 顔が出来上がったら、開いている部分の紐作りをして、穴をふさぎます。これは、イヌを作ったときと全く同じです。同じことを書くと、だんだんと穴を小さくしていって、指が入るくらいの大きさになったら、紐を少し外に出して飛び出した形にします。その後、この飛び出した部分を中に埋めるとともに穴をふさいでいきます。いわゆる風船作りと同じ方法です。


12.細部を作り、毛並みを入れます。
 最後に、細部に手を加えていきます。鼻の穴を入れる、口を修正する、足の指を入れる等です。
 顔が完成したら、顔の表面は軽く、胴体は大きく毛並みを入れていきます。イヌの場合も同じですが、無理に毛並みを入れる必要はありません。好みの問題になっていきます。
 毛を入れるのは、写真等を見て、毛並みの方向に注意しながら1本ずつ入れた方が出来映えが全然違ってきます。結構手間がかかりますが、ネコらしくなりますので、我慢して入れていきましょう。ただし、ここで毛並みを適当にクシ等で入れるのであれば、入れない方が良く見える場合もあります。如何にも手を抜いて作ったように見えることがあるからです。この当たりは気をつけて作りましょう。

13.完成です。
 完成写真です。これが実際に飾る場合の目線の位置から見たものです。少し上を向いているのが分かると思います。丁度飾った位置で目線が合うようになっています。したがって、正面から見た場合は、上を向いています。