置物作り講座(紐作りでイヌを作ろう)

 このページでは、少し大きめの置物の作り方として、紐作りで作る方法を紹介します。
 本来ならば、もっと難しくて高等技術の作り方で作るのですが、ここでは初心者用講座ということで、初心者でも作れるということを念頭に置いて、簡単に作れる方法を色々と考えてみました。
 したがって、今回作るイヌの置物も、子犬に限定しました。何故子犬かというと、足を太くて短く作る必要があるため、楽に作ることが出来る。顔を大きく作る必要があるため、表情や細かい仕草を作りやすい等の理由があります。
 なお、動物を作る場合は、写真等のモデルがないと作りづらいですが、最近はネット上にいくらでも参考に出来る画像がありますので、それを利用すれば良いと思います。一方からの画像だけではなく、色々な角度から撮ったものがあれば最高です。
 実際にイヌやネコを近くに置いて作るということも出来ますが、なかなか必要なポーズを長時間とってくれませんので、写真を見ながら作る方が簡単だと思います。

Ⅰ お座りをしたイヌを作る方法

   とりあえず立ったイヌよりも座ったイヌの方が簡単に作れますので、そちらを紹介します。しかも、紐作りで作り後から形を修正して作る方法にしました。これならば、最初から出来上がりのイメージを持っていなくても作れると思います。
 今回は、柴犬を作りますが、あえて血統のあるイヌではなく雑種にしました。可愛らしい表情を作るためには、他のイヌの良いところも取り入れないと無理があるためと、手元にある写真が、雑種のものだからです。(笑)

1.紐を円錐状に積みます。
 最初にロクロ(無くても可能)の上に、紐を円錐状に積んでいきます。もちろん、最初から出来上がりのイメージがあって、何度も作り慣れている人は最初から最終形の形に積み上げた方が効率がよくなります。
 ここでは、あくまでも初心者が作るということを考えていますので、多少面倒でも作りやすい作り方を目指しています。
 次に、紐のつなぎ目をならして表面を綺麗にします。この場合、外側を綺麗にするだけでかまいませんし、完全に凹凸を取ってしまう必要もありません。あくまでも紐のつなぎ目を無くすのが目的です。

2.お座りの形に加工します。
 次に、お座りをした形に加工していきます。まず、後ろ足を作ります。
 後ろ足は、お座りをしているので、膝を曲げたポーズになりますので、膝を外に出します。土を外に出していくので、薄い場合は、写真のように膝の部分に土を足しておきます。重たくてもよければ、土を足して足の形にしてもかまいません。その方が簡単にできると思います。
 後ろ足を出したら、次に前の部分の下腹部の部分を凹まます。これだけでイヌが座った感じに見えます。見えない場合は、見えるように形作っていきます。気をつけなければいけないのは、一方向だけからしか見ないで見る角度や方向を変えていくことです。

3.後ろ足を完成させて底を付けます。
 ここで、後ろ足の形を作っておきます。上の部分を作っていくと、手が届かなくなるので、届くうちに作っておきます。具体的には、足先をくっつけること、シッポを付けること、足の形をお座りした形にすること等です。
 この段階で、底を付けたい場合には底を付けます。これも手が入らなくなるとくっつけづらくなるからです。
 次に、紐を足して前足を取付けられる位置まで(胸のあたり)まで胴体を伸しておきます。

4.前足を作ってくっつけます。
 次に前足を作ります。紐作りで作った土を足の格好に加工して、胴体の胸の横、肩の部分に取付けます。成犬の場合は、比較的前足は横から出ているのですが、子犬の場合は胸に近いところから出ているように見えます。これは、手足が太くて短いためかもしれません。

5.顔の部分を紐で整形します。
 胴体の部分がほぼ出来たら、いよいよ顔の部分の制作に入ります。
 とりあえず、顔の前半分を作ります。これは、作るときに内側に手を入れて作る場合が出てくるからです。一番何もない部分を開けておき、最後にふさぐようにします。
 とりあえず、紐作りで顔の部分を球型に作りましょう。もちろん最初から顔の形に作っても良いのですが、初心者には紐を積みながら整形するというのは高等な作業になりますので、ここではとりあえず紐を積んでその後整形するという方法にしました。

6.顔に肉付けしていきます。
 のっぺらぼうに顔に、肉付けをしていきます。鼻、ほほ、ひたい、まぶた等に肉付けし、目の部分はへこませていきます。
 この部分は、写真だけではよく分からないので、実物がいる場合はそちらを参考にすると良いでしょう。また、写真でも角度の違うものを捜して、あらゆる角度から肉付けしていくことが大切です。正面だけで作ると平坦なものしか出来ません。

7.目と鼻を付けます。
 顔の肉付け、輪郭が出来たら、目と鼻に黒土をくっつけます。黒土がない場合は、胴体と同じ土を使って後で色づけしてもかまいません。
 目は、実際に玉を作って押し込みますので、その分目の輪郭にそって穴を彫っておきます。鼻の部分は、そのまま鼻の形の黒土を貼り付けます。
 写真の口は、表情を見るために入れてあります。最終的にはこの線をそのまま利用して作っていますので、適当に入れているわけではありません。

8.まぶたに土を付けてならします。
 目が出来たら、目の上の部分にまぶたを作ります。細い葉っぱ状の紐を目の上に貼り付けて、上の部分だけをならします。このまぶたを付けることによって、目の表情が生きてきて立体感も出てきます。下まぶたも作っても良いですが、下まぶたは上まぶたほどはっきりとはしていませんので、大差はないと思います。
 この段階で、口も開けておきます。底をふさいだ場合には、この口の部分が空気抜きの穴になっていますので、きっちりと穴を開けておきます。

9.耳、舌を付けます。
 さて、次に舌や耳の細かい部品を付けていきます。舌は、ピンク土を使っても良いですし、後で色を塗っても良いです。ここでは、素焼後にピンク色を塗るつもりなので、白土で舌を作っています。この場合の舌はピンク色と赤色を塗って立体感を出す予定ですので、色土よりも絵具で塗る方を選択しています。
 耳は、初心者の人は平らな土を前方から見ただけの形で取付けがちですが、横からの写真を見れば分かりますが、根元の方はかなりの厚さがあります。でもって、耳の内側は穴がありますので、内側をへこませています。このような形にすれば、焼成後も折れたり欠けたりする心配が少なくなります。

10.耳を折って子犬にします。
 通常の位置に耳を取付けたら、これを折って子犬にします。最初から折れた形で取付けても良いのですが、どうしても薄っぺらい耳になったり穴が開いた形に作れないことがありますので、成犬の形に作っておいて折り曲げた方が確実に作れます。

11.紐作りで穴をふさぎます。
 顔が出来上がったら、開いている部分の紐作りをして、穴をふさぎます。だんだんと穴を小さくしていって、指が入るくらいの大きさになったら、紐を少し外に出して飛び出した形にします。その後、この飛び出した部分を中に埋めるとともに穴をふさいでいきます。いわゆる風船作りと同じ方法です。
 文章で書くよりも、左の写真を見ればやりかたが分かると思います。ここで気をつけなければいけないのは、そろっと押し込んでいくことです。一度内側に入りすぎてしまうと、どうしようもありません。再度穴の部分を切り取ってやり直すしか方法がありません。したがって、へこみすぎないように注意しながらふさいでいってください。

12.細部を作り、毛並みを入れます。
 最後に、細部に手を加えていきます。鼻の穴を入れる、目を二重にする、口を修正する、ヒゲを入れる等です。
 顔を作る作業は、実は紐作りで胴体を作る以上に手間と時間のかかる作業になります。この作業は、何度もあらゆる角度から見直しを行い、修正して顔を作り上げていきます。自分で納得するまで諦めずに時間をかけて作り上げていきましょう。
 顔が完成したら、軽く毛並みを入れていきます。もちろん、毛並みを入れる前で仕上げてもかまいません。ここからは好みの問題になっていきます。ここでは、軽く毛並みを入れて、イヌらしさを強調させてみました。
 毛を入れるのは、クシで一気に入れるという手段もありますが、少々面倒でもやはり1本ずつ入れた方が出来映えが全然違ってきます。1本ずつ入れると思っただけでイヤになる人がいると思いますが、思った以上に簡単に出来上がるので一度試してみてください。
 毛並みを入れたら、少し乾燥させてから土くれを取っていきます。ここでは、100円ショップで売っているすり鉢用のササラを利用して取っています。

13.完成です。
 完成写真です。これが実際に飾る場合の目線の位置から見たものです。下の写真は左右からと真正面、真上から見た位置の写真です。参考にしてください。
 ここでは、薄い赤土、濃い赤土、黒化粧土により色づけをしています。






Ⅱ 紐作りで立っているイヌを作る方法

   今度は、立ち姿のイヌを作ります。作り方は、座った場合とはかなり違う作り方をしていますが、当然どのように作っても問題ありません。初心者は、最初中を空洞にしないで形を作って、半分に切ってくり抜く方が簡単に出来ますが、下記に載っている方法もわりと簡単ですので、試してみてください。

1.玉作りで胴体を作ります。
 最初に足を除いた胴体を作ります。紐作りで積み上げてもいいのですが、わざわざ紐を積み上げる必要はありません。玉作りで作れる大きさのものは玉作りで作った方が効率も時間も短縮できます。大きさが大きい場合は、最初玉作りで作り、その後紐を足していけば良いと思います。最初から紐で作る必要はありません。
 ここで注意する点は、ぐい飲みの口になる部分を薄くしないこと、底の部分は逆に薄目に作るということです。底は後で足を付けるのである程度の厚さが必要ですが、普通に作れば厚くなるので、気にしないで良いと思います。
 ぐい飲みの形は、イヌの胴体となりますので、楕円形又はタワラ型になります。底は平らに作っておいて後で変形出来ますが、大まかな形は最初から作っていった方が楽だと思います。

2.背中を紐作りで作ります。
 次に、頭を除いた背中の部分まで紐作りで作っておきます。頭は後で取付けますので、ここで作る必要はありません。また、先に頭を作ると足の取付けに手間がかかるようになりますので、注意してください。手順を前後すると作りにくいことになってしまいます。

3.足を取付けます。
 次に頭を取付ける前に足を取付けます。取付け方は、色々あります。足の形をしっかりと作って、ある程度乾燥してから接着する方法、適当な形に足を作っておいて接着してから整形しなおす方法、少しずつ足を伸していく方法等です。
 ここでは、足を少しずつ伸していく方法で作ります。この方法は、少しずつ乾燥して作れるので、自由な形が出来ること、足を取付けてもへたったり変形したりすることが少ないこと、長さを自由に調整出来るのこと等の利点があります。逆に、乾燥しながら取付けていくので、手間がかかる点が欠点です。
 大きさがきっちりと出来る場合は、足と胴体を別々に作り、後で接着する方法が良いと思います。ただし、接着面をきっちりとしないと後でヒビ割れや破損の原因になります。また、4本を同時に取付けるには、それなりの工夫が必要となります。

4.頭を作り、取付けます。
 足が大体出来たら、頭部を作ります。頭部の作り方は、上のように紐を足しながら作る方法もありますが、ここでは先にあらかた作っておいた頭部を胴体に取付ける方法をとります。これは、まだ乾燥していない足を取付けていますので、頭部を加工している間に足が変形したりつぶれたりすることを防ぐ意味もあります。
 頭部前面の大まかな形が出来たら、胴体に取付けます。

4.顔の表情を作ります。
 さて、いよいよ顔の表情を作りますが、作り方は座ったワンちゃんと全く同じなので省略します。なお、座った場合は底を作る必要はありませんでしたが、今回は底がありますので、必ず空気抜きの穴が必要になります。今回は、口を開けた姿に作っていますので、口を空気抜きの穴に利用しています。口と閉じた場合は、耳の穴や鼻の穴等で作りますが、どうしても出来ない場合は一番目立たないお腹のあたりに小さな穴を開けておくといいでしょう。
 この段階では、座ったワンちゃんと同じように後頭部は指が入るだけのスペースを空けておきます。これがないととたんに作りづらくなります。

4.細部を作りあげて完成です。
 耳を付けたり、舌を付けたり、細部を加工していって完成です。今回は毛並みは入れておりません。立ったイヌのように全体を見せたい場合には、細かい細工を入れない方が良いと思います。