ここでは、練り込み顔料、陶芸用クレヨンの使用結果についてご報告します。
- 練り込み顔料の焼成結果
- アメリカ製クレヨンの焼成結果
- 日本製クレヨンの焼成結果
- 自作クレヨンの焼成結果

練り込み用顔料について、焼成実験した結果をご報告します。写真の右半分が一般に市販されている10色の顔料です。私は伊勢久(株)から購入しましたが、他にも陶芸.コムやけんぼう窯等にあります。
左半分は、(有)ヤマニファーストセラミックというメーカーの練り込み顔料(ボディーステイン)です。
写真の見方ですが、同じ顔料が2個づつ並んでいますが、左側が酸化焼成、右側が還元焼成したものです。使用土は半磁器土で、釉薬は透明釉、焼成温度はSK8です。上の部分には釉薬がかかっていません。
顔料は、適当に入れています。大体1割程度を目安に入れましたが、目分量ですので、あまり参考にはならないと思います。
焼成結果からいうと、ヤマニの練り込み顔料と伊勢久の練り込み顔料とは、名称が違っても同色のものが多々ありました。ヤマニの「セージグリーン」と伊勢久の「グリーン」、ヤマニの「カメオピンク」と伊勢久の「ピンク」、ヤマニの「アクアブルー」と伊勢久の「トルコ青」、ヤマニの「アンティークモーブ」と伊勢久の「ライラック」、ヤマニの「サンフラワー」と伊勢久の「黄色」については、全く同じ顔料と考えても良いと思います。
伊勢久のグリーン、ピンク、トルコ青、ライラック、「海碧(カイヘキ)」、「ピーコック」については、酸化でも還元でもほぼ同色になります。若干還元焼成の方が暗い色合いになりますが、これは土の影響もあると思いますので、ほぼ同系色と考えて差し支えないと思います。ちなみに、使用している半磁器土は、還元焼成だと若干灰色系の色になります。
これらの顔料については、非常に安定しているとも言えます。使用する際には、酸化とか還元とかを気にせずに使用出来ます。ただし、練り込んだ時に目立つ色をそうでない色があります。グリーンは練り込みの際にはっきりと分かりますが、ピンクは混ぜたかどうか分からないような色合です。
同じく伊勢久の茶色についてもほぼ同じ色なのですが、この場合は還元焼成の方が少し薄い色になります。「グレー」と「黒色」については、還元焼成だと似たような色で、黒っぽいグレーになります。酸化焼成だと、まともな色になるようです。
これに対して、酸化でしか色の出ない色があります。還元焼成だと、全ての色が濃いグレーになってしまう顔料です。これは、ヤマニの「サラダグリーン」「アプリコット」「メープルローズ」「サンフラワー」、伊勢久の「黄色」がこのタイプの顔料です。ちなみに、ヤマニの「サンフラワー」と伊勢久の「黄色」は同じ色です。
これらの色を使用する際には、絶対に還元焼成はしないことです。間違って還元焼成をしたら、全てが灰色になってしまいます。特にヤマニの顔料は酸化焼成しか出ない色が多いようです。
これらの結果から、酸化焼成だけを行う場合には、ヤマニの顔料が種類が豊富な分面白みがありますが、還元焼成も行うとなると、事前に試験焼成を行った方が良いと思います。
なお、今回実験したヤマニの顔料は、全てを購入した訳ではありません。全てを購入すると、16種類になります。明らかに伊勢久と同じ色と思われるものは除外しましたが、それでも5色が同じ色だった訳になります。結果として、伊勢久と違うタイプの色は、3種類だけで、その全てが酸化焼成オンリーということになりました。(汗)

アメリカ製クレヨンの焼成結果についてのご報告です。
まずは、上の写真をご覧ください。左側が酸化焼成、右側が還元焼成です。そして、上側が207、下側が208のクレヨンです。
還元焼成で、色抜けしている部分は、色が出なかったところです。208の下の部分に、酸化焼成でも抜けている部分がありますが、これは白色ですので白土以外では発色します。白土でも発色しているのですが、写真では分からないだけです。(汗)
詳細の結果報告です。
酸化焼成だと、全ての色がクレヨンの色の通りに出ます。しかも、かなり色が濃く出ます。これに対し、還元焼成では黄色、ピンク、紫色が出ません。グレーの色も違ってきます。しかし、それ以外の色、特に緑色系統については酸化焼成よりも綺麗に出ます。209の右下の濃い緑色などは酸化焼成だと黒っぽく見えますが、還元焼成だと綺麗な緑色になります。
茶色系統、青系統については、酸化焼成の方が鮮やかに出ます。還元焼成だと、色が抜けたような感じになります。しかし、逆に言えば落ち着いた色合とも言えます。
黄色、紫については、酸化焼成しか発色しません。これについては酸化焼成するしかありません。
ピンクについては、日本で使われている陶試紅によるピンクではなくて、もう少し濃い農ピンクという種類と同じ色合です。どちらかと言えば、赤紫のような色合です。
グレーは、酸化焼成だとそのままグレーになりますが、還元焼成の場合は薄い茶色といった色合になります。これについては、発色が違ってきますので、取り扱い注意ですね。

ヤマニ製10色クレヨンについてご報告します。
こちらは、酸化焼成、還元焼成とも全ての色が発色しています。ただし、やはり酸化焼成の方が色が濃く出るようです。特に、暖色系の赤、ピンク、黄色、オレンジ色は酸化焼成の方が鮮やかに出ます。
しかし、還元焼成だと全くでない訳ではなくて、黄色や赤色も薄くなりますが発色します。
オレンジに関しては、酸化焼成だとオレンジ色ですが、還元焼成になると肌色になります。これは、人の顔などを塗るのには便利だと思います。逆に、うっかりと酸化焼成にしたら、肌色のつもりがオレンジ色になってしまったということになるかもしれません。クレヨンの色は肌色なので、間違い安いかもね。(笑)
こちらも、緑色に関しては還元焼成の方が色が良いようです。逆に、黒色は酸化焼成の方が黒くなります。

、「つくる陶磁郎3」に載っていたクレヨンの作り方を参考にして作った自作のクレヨンの実験結果です。
作り方は、まず粉末状の蛙目粘土20グラムを水を加えながら乳鉢で摺ります。
次に、きめの細かい白土と磁器土を20グラムづつと出来上がった蛙目粘土をよく混ぜます。
最後に練り込み用顔料60グラムをよく混ぜて、使いやすい形に成形して、乾燥させればクレヨンの出来上がりです。
私は、作り方を少し変えて、まず粉末の蛙目粘土と練り込み顔料を乳鉢でよく摺ります。それに水を入れてよく練って、磁器土と半磁器土と混ぜ合わせるという方法で作りました。この方が、顔料がよく混ざると思ったからです。
使った結果を報告します。実は、還元焼成で出なかったアメリカ製クレヨンの色だけを作ったために、結果としては出にくい色ばかりを作ったことになってしまいました。作ったのは、ピンク、ライラック、トルコ青、グレー、黄色、赤です。このうち、黄色と赤については、練り込み顔料では還元焼成で色が出ないので、還元用の下絵の具を使用しました。
結果は、全ての色が薄くなってしまいました。これは、明らかに顔料の不足です。作った時は結構色が出ていたのですが、乾燥するとほとんど目立たなくなってしまいました。当然のことながら、焼成すると薄く出るか出ないかの色になってしまいました。逆に言うと、パステル調と言えるかもしれません。濃くしたい場合には、顔料の量を増やしていけば濃くなると思います。
写真の上の方は、比較検討用のヤマニのクレヨンです。中央の丸は、アメリカ製のペンシル型顔料です。

