3.我が国の登窯
 我が国の登窯すなわち各陶業地にある陶窯の様式は、その構造上特に傾斜度と焼成室の断面の形状によって大体次の4種類の登窯を代表に掲げて分析することが出来る。
 1.丸窯系
 2.古窯系
 3.京窯系
 4.益子窯系

 丸窯系は、佐賀、長崎地方、大分地方及び瀬戸の丸窯である。何れも焼成室が非常に大きい。この系統の小型窯として、北陸九谷焼の窯、兵庫県但馬の出石焼の窯、淡路の窯、兵庫県三田の青磁窯、愛媛の砥部地方の窯等がある。この系統の特徴は、傾斜が緩く(1尺に付き、平均3寸以内)焼成室が半円筒状をしている。

 古窯系、この系統の中で大きなものは一名本業焼窯と呼ばれている。この系統の窯は、瀬戸地方、美濃地方に多く、傾斜は一寸1尺に付き4寸内外である。古窯と呼ばれているものは燃焼室も小さく、部屋数も少ないが、本業窯といわれるものは燃焼室も大きく、部屋数も多い。形状は丸窯のように半円状ではなくて馬蹄形に細く高くなっている。

 京窯形は、我が国の陶業として最も多数を占めているもので、京都の清水、粟田焼、信楽焼、常滑焼、万古焼、備前の伊部地方等、各地に築かれているものである。燃焼室が小さいのと傾斜が古窯に対し緩やかなものであって、三寸強である。部屋の形状も馬蹄形である。

 益子系統の窯は、東北地方の相馬焼、益子焼の窯などであって、これは窯材料の良質なものが少ないため、部屋は小さく、天井のきわめて低いことが特徴である。高さ3尺たらずのもので、部屋も京窯のように小さい。傾斜は3寸5分以内外である。

 元来、これらの傾斜窯は傾斜が急であればあるほど通風が強いから、燃焼する際の温度の上昇が早い。言い換えれば窯が焚きやすい。故に技術の幼稚な時代の窯ほど傾斜の急なものを作っていたのである。しかし、傾斜が急であり、通風が強いことは一面において熱が不均一になりやすく、「火前」のものは焼きすぎになり、「奥」のものは「なまやけ」になる。このため歩留まりが非常に悪く、採算性の上で不経済なものになる。
 また、傾斜の急な場合は「窯の焚き上げ」と、焚き上げ後の「冷まし」が早いために、製品の「ひずみ」とか「きれ」「破損」などの欠点が多く出来るから、厚手の作品とか、大器を焼くには適さない。「厚手のもの」「大器」を焼くには、出来るだけ傾斜を緩やかにして、燃焼室も大きくし、徐々に焚き上げ熱を平均にし、緩やかに冷まさなければいけない。この点において、丸窯は大物を焼くのには最も適した窯である。


 第20図  瀬 戸 丸 窯


 第21図  有 田 登 窯( 丸 窯 系 )


 第22図 長崎波佐見登窯( 丸 窯 系 )


 第23図 有馬・三輪町登窯( 丸 窯 系 )


 第24図  瀬 戸 古 窯


 第25図 岐阜県下石登窯(古窯系)


 第26図  瀬 戸 本 業 窯


 第27図 京 都 登 窯


 第28図 九 谷 登 窯( 京 窯 系 )